10. 建設・不動産
 

 

中西部・イリノイ州の経済ホーム

 

目次

 

I. 中西部・イリノイ州の経済

 

II. 主要業界の動向

1. 建設機械

2. 工作機械

3. 鉄鋼

4. 電気・電子部品

5. 金融

6. 小売

7. 海運

8. 航空

9. トラック
 
フォワーダ−

10. 建設・不動産

11. 情報

12. 観光

13. 農業

14. 主要企業の動向

 

III. 当地日系企業の経営課題

1. 税務・財務

2. 法務・雇用

 

IV. 中西部の社会・経済指標

 米国商業不動産の売買市場(商業不動産キャピタル市場)の概況について、中西部およびシカゴ地区と比較しながら、ご説明申し上げます。現在商業不動産キャピタル市場で主に売買されている物件は、投資対象となるオフィス・ビル(Office)、ショッピング・センター(Retail)、オフィス/R&D兼倉庫&倉庫(Flex & Industrial)、賃貸アパートメント(Apartment)となっています
1. オフィス・ビル(Office)

 都市の商業中心地に所在するものと郊外地に所在するものに大別されますが、それぞれ直近の売買Cap(Capitalization Rate:物件収益÷売却価格=収益還元率/利回り)及び売買単価の全米平均推移を見る限り、若干の回復傾向を示しております。(表1)

 過去12ヶ月の中西部地区全体とシカゴ地区(商業中心地&郊外地)のオフィス売買需給は(表2)のとおりです。

 シカゴ地区でのオフィス売買取引高は中西部地区全体の3分の2以上を占めており、実際に市場に出てこない相対での売買も含めて、数字上ではキャピタル市場での需給は回復してきているようにみえます。
 しかし、これは多くのオフィスを所有している機関投資家やREIT等が、市場金利の低下、オフィス空室率の上昇等を受けて、所有物件を売り控えているための売却物件の供給不足によるもので、一時的な傾向と言えます。市場金利の上昇、空室率の低下等の要因によって本格的な売却物件の供給が増えてくるまでは、まだ時間が掛かるものと思われます。

2. ショッピング・センター(Retail)

 ショッピング・センターといっても大小色々な種類のものがありますが、アンカー・テナントが入居していない小規模なショッピング・センターとアンカー・テナントが入居しているMall等の中・大規模ショッピング・センター、それぞれ直近の売買Cap及び売買単価の全米平均推移を見る限り、人気の高い状況が続いております。(表3)

 過去12ヶ月の中西部地区全体とシカゴ地区のショッピング・センターの売買需給は(表4)のとおりです。

 実際に市場に出てこない相対の売買を含めても、需要が供給を凌ぐ状態であります。この状況は、低金利政策が続き、オフィス物件の投資の多かったPublic/PrivateのREITが、比較的長期のテナント・リースが付いたショッピング・センターへの投資を増やしている背景があると思われます。

3. オフィス/R&D兼倉庫&倉庫(Flex & Industrial)

 オフィス/R&D兼倉庫(Flex)と倉庫(Industrial)に分けて、それぞれ直近の売買Cap及び売買単価の全米平均推移を見る限り、積極的な投資対象となっている傾向にあります。(表5)

 過去12ヶ月の中西部地区全体とシカゴ地区のオフィス/R&D兼倉庫&倉庫の売買需給は(表6)のとおりです。

 実際に市場に出てこない相対の売買を含めても、需要が供給を凌ぐ状態であります。この状況は、低金利政策が続き、オフィス物件の投資の多かった機関投資家やREIT等が、長期テナント・リースが付いた倉庫物件への投資を増やしている背景がると思われます。

4. 賃貸アパートメント(Apratment)

 低層アパートメントと中高層アパートメントに分けて、それぞれ直近の売買Cap及び売買単価の全米平均推移を見る限り、積極的な投資対象となる傾向にあります。(表7)

 過去12ヶ月の中西部地区全体とシカゴ地区のアパートメントの売買需給は(表8)のとおりです。

 実際に市場に出てこない相対の売買を含めても、需要が供給を凌ぐ状態であります。この状況は、低金利政策が続き、個人富裕層の積極的な投資対象となったことや、高級賃貸アパートメントをコンドミニアムへの変換を目的に購入する需要に支えられている背景があると思われます。

5. まとめ

 米国の商業用不動産は、株式&債権投資の代替投資の対象として、個人富裕層から機関投資家まで幅広い投資家層によって売買が繰返されており、投資リスク(不動産リスク)を売買時のCap. Rateによって調整されているものであります。従って、現状では株式&債券市場の低迷、市場金利の低下等を比較して、高い利回りと実際に日々のキャッシュ・フローを伴う投資対象としての需要は高くなっております。
 しかしながら、オフィス物件については雇用削減が続く中、空室率の改善・調整も遅れており、その他のテナントも事業拡大には慎重な姿勢である傾向にあり、商業不動産の賃貸市場については、本格的な回復には更に時間を要する状況であります。従って、米国の商業不動産キャピタル市場については、金利上昇やその他キャピタル市場の活況等の要因に密接に影響を受ける状況にあります。
 中西部、特にシカゴ周辺では商業用不動産の開発が活発に行われているものの、郊外型のオフィスについては供給過剰が続いている中、新たな開発が大変スローになっている状況も見逃せません。