14. 主要企業の動向
 

 

中西部・イリノイ州の経済ホーム

 

目次

 

I. 中西部・イリノイ州の経済

 

II. 主要業界の動向

1. 建設機械

2. 工作機械

3. 鉄鋼

4. 電気・電子部品

5. 金融

6. 小売

7. 海運

8. 航空

9. トラック
 
フォワーダ−

10. 建設・不動産

11. 情報

12. 観光

13. 農業

14. 主要企業の動向

 

III. 当地日系企業の経営課題

1. 税務・財務

2. 法務・雇用

 

IV. 中西部の社会・経済指標

 米中西部の中心地イリノイ州はもともと「ものづくり」の街として成長を遂げてきたが、最近ではバイオや情報産業も着実に成長し、新しい顔を見せ始めている。金融、メディアに強い東海岸、エンターテインメントやハイテク基地を抱える西海岸に対抗しながら、州政府は独自の産業政策を掲げ、新たな産業育成に力を入れている。NY、カリフォルニアに次ぐ経済規模を誇るシカゴ周辺の都市は、様々な発展の可能性を秘めている。
1, 米国を代表する企業の本社機能が集中

 イリノイ州は米国のほぼ中央に位置することから、西海岸、東海岸の両方への交通の便が良く、企業にとって本社機能を置くのに好都合な立地条件だ。企業や団体が会議や展示会を開くにも適した場所とされてきた。また、中西部の穀倉地帯を近くに抱えるため農業関連産業も発達してきた。こうした米国の多様な企業が集積するイリノイは「もっとも米国らしい土地」と言われている。
 イリノイ州に本社を構える代表的企業にはシアーズ、モトローラ、ユナイテッド航空、マクドナルドなどがある。最近ではボーイングもシアトルからシカゴに本社を移転した。ただ、いずれも経営環境の変化に対応するためリストラや構造転換に踏み切らざるを得ず、米国のほかの企業と同様にイリノイ州の企業は大きな転換期を迎えている。
 その代表例がユナイテッド航空だ。2002年12月に米連邦破産法11条の適用を申請し破たんした。同時テロ後の未曾有の航空不況に見舞われるなか、格安航空会社の台頭で競争力が弱まったのが主因。ユナイテッド航空は米国で最も忙しいといわれるオヘアを拠点空港(ハブ・アンド・スポーク)にして成長してきた。格安航空会社が拠点空港を避け、着陸料の安い空港を利用することで運賃の引き下げを実現しているなかで、ユナイテッド航空が中心となって確立してきたビジネスモデルそのものの意義が問われ始めた。そのユナイテッド航空は今年中に再建を完了する見込みで、継続的なコスト削減努力に加え、格安航空への参入など新しい試みで再出発することになる。
 シカゴのダウンタウンに本社を構えるボーイングも転換期を迎えようとしている。民間航空機メーカーの雄の異名を取ってきたが、最近では同社の売り上げに占める民間航空機部門の割合は4割まで下がりつつある。ライバルの仏エアバスとの受注競争激化に加え、同時テロの余波で航空会社からの新規受注が減少し苦戦している。代わって成長しているのが、イラク戦争などで米国防予算の拡大の恩恵を受けた統合防衛部門だ。
 今後、民間機部門は設計と最終組み立てに軸足を置くとみられ、リストラの動きが予想されている。そうしたなかで注目は新型航空機「7E7」の開発だ。当初予定していた「ソニッククルーザー」という最新鋭機の開発を棚上げしてまで取り組む「7E7」は、燃費を大幅に向上させたのが特徴。全日空から50機の注文を受けるなど、アジアを中心に売り込む戦略とみられ、今後の注文動向が注目される。

2. 競争力磨く優良企業

 米フォーチュン誌は毎年「フォーチュン500」として大手企業の売上高ランキングをまとめている。それによると、カリフォルニア州、テキサス州などに続いて、イリノイ州は34社がランクされている。表1は「フォーチュン500」のうちイリノイ州に本社を置く企業をまとめたものである。信用度の高い企業が集まっているのもイリノイ州の特徴といえる。
 フォーチュン誌がこうした大手企業を中心に選定する「アメリカで最も称賛される企業」(America's Most Admired Companies)というランキングもある。フォーチュン500が売上高や収益、成長性などの指標に基づいているのに対し、このランキングは企業の社会性や従業員の労働環境などを評価の対象にしていて、いわば企業の公的な部分を計る尺度といえる。
 2004年3月8日号で同誌が発表したランキングをみると、イリノイ州は様々な業種で称賛企業に選定されている。表2に掲げた企業の中には外食のマクドナルド、食品小売のウォルグリーン、機械のキャタピラーなど日本でも知名度の高い企業が上位に登場している。「フォーチュン500」に選ばれた企業は、社会貢献や従業員福祉でも先進的な取り組みをしていることが推測できる。業種をみても銀行から小売、製造業まで幅広くランキング入りしていて、イリノイ州の産業の底辺の広さをうかがわせている。
 一方、インク誌がまとめた急成長企業をみると、イリノイ州でもコンピュータやサービス産業が急速に力をつけていることが分かる。表3にインク誌2003年10月15日号からイリノイ州の成長企業を抜粋した。従来、重厚長大産業を中心に発展してきたと見られることが多かったが、教育、金融、広告などサービス分野が力を付け始めていることが分かる。 

3. 新興バイオ企業の躍進

 さらに、こうした産業構造の転換の主役になりつつあるのがバイオ産業の勃興だ。大手企業が構造転換の過渡期を迎えるなかで、新興のバイオ、ヘルスケア企業の動向から目が離せなくなっている。シカゴ周辺にはノースウエスタン大学、シカゴ大学、イリノイ州立大学などの先端的な研究機関が目白押しで、産学協同で取り組む環境が整っていることが最大のメリットだ。業界でもイリノイ州が西海岸の都市やボストンなどと並ぶ米有数のバイオ拠点に成長するとの期待は高まっている。こうした新興企業を資金面から支えるのがベンチャー・キャピタルで、新たなビジネスチャンスを求めシカゴ周辺に集結し始めており、ここにきてその数はますます増えようとしている。