I. 中西部・イリノイ州の経済
 

 

中西部・イリノイ州の経済ホーム

 

目次

 

I. 中西部・イリノイ州の経済

 

II. 主要業界の動向

1. 建設機械

2. 工作機械

3. 機械部品

4. 鉄鋼

5. 電気・電子部品

6. 金融

7. 小売

8. 海運

9. 航空

10. フォワーダ−

11. 建設・不動産

12. 情報

13. 観光

14. 農業

 

III. 当地日系企業の経営課題

1. 税務・財務

2. 法務・雇用

 

IV. 中西部の社会・経済指標

議員・知事リスト

1. 中西部経済の概要

 中西部経済は、2004年前半の力強い回復からペースを落としたものの、緩やかな拡大を続けている。しかし、全米平均に比べ成長は鈍く、雇用や賃金上昇率も低くなっている。
 個人消費は、11月まで前年比7%を超える高い伸びを示していたが、天候要因などもあり、ホリデーシーズンの消費は期待を下回った。2005年に入っても、厳しい寒さが続く中、春物商品が伸び悩むなど弱含んでいる。一方、自動車は、引き続き堅調な販売を維持すると見られている。
 設備投資は、緩やかに拡大しており、生産の回復に伴い、多くの企業が2005年も投資の増加を予定している。3年間減少を続けた製造指数も、2004年は前年比5.3%増と4年ぶりにプラスとなった。世界的に需要が拡大している鉄鋼や、建設・鉱山機械を中心に一般機械が大幅な伸びを見せている。好調を続けてきた住宅投資は、水準は依然高いものの、不透明感を増してきている。
  以上を踏まえると、2005年の中西部経済は、全米平均を下回るものの、引き続き緩やかに拡大していくことが予想される。

 

2. 中西部経済の主なポイント

〈4年ぶりに増加に転じた製造業〉

 シカゴ連銀による2004年の中西部製造指数(CFMMI)は、前年比で5.3%増となり、2000年以来4年ぶりに増加した。 
 業種別に見ると、好調な販売が続く自動車は、前年比4.7%増と堅調な伸びを見せた。11月以降3ヶ月連続して減少していたが、2月には前月比で3.9%増加した。しかし、多くの自動車メーカーが生産拠点を南部やカナダなど他の地域に移しつつあることや、中西部に多くの拠点を持つビッグスリーの市場シェアが縮小していることから、今後の動向が懸念される。
 鉄鋼は、中国を中心とする世界的な需要拡大により生産が大きく増加しており、2004年に前年比7.0%増加した後、2005年2月も前年同月比2.6%増と好調が続いている。一方、世界的需要拡大や原材料(コークス、スクラップ、鉄鉱石)価格、船賃の高騰により、大幅に上昇した鉄鋼価格は、落ち着きを取り戻しつつある。ロンドンを本拠地とする鉄鋼関連コンサルティング会社のMEPS社によれば、北米における鉄鋼統合価格(全品目の加重平均)は、2004年に大幅に上昇し、9月には前年の2倍以上のトン当たり741ドルに達したが、その後6ヶ月間低下を続けており、依然として高水準ながら3月には645ドルとなった。
 一般機械も、2004年は前年比8.4%増と大幅に増加した。2005年2月も前年比5.0%増と大幅な伸びを続けている。鉄、銅、レアメタルなど鉱物資源の価格が高騰していることから鉱山機械の受注が大幅に増えているほか、堅調な建設需要に支えられ、建設機械も好調である。大量の受注残を抱えるとともに、設備投資の回復や低金利の持続などから、生産は、力強い増加を続けることが予想される。
 中西部は、産業全体に占める製造業の比率が特に高く(全米平均の13%に対し、中西部12州平均は18%(2002年))、製造業の回復は中西部経済の好転に大きく寄与していくと考えられる。

〈雇用悪化が続くミシガン州〉

 中西部の失業率は、2004年を通してほぼ全米平均なみの5.6%~5.8%の範囲で安定的に推移した。しかし、製造業のウェイトの大きい五大湖周辺州の失業率は依然として高く、2005年3月の失業率は、ミシガン州6.9%、オハイオ州6.3%、イリノイ州5.6%といずれも全米平均(5.2%)を大きく上回っている。特に、ミシガン州の失業率は高く、全米50州の中でミシシッピ州(7.0%)に次ぐ悪さとなっている。ミシガン州は米国最大の自動車生産拠点であり、製造業における自動車産業の比率も49%を占めている。
 米国内の自動車生産は、好調な販売に支えられ、年間約1,200万台の高水準を維持しており、ミシガン州の雇用環境も景気回復に伴い、自動車を中心に好転することが予想されていた。しかし、自動車産業は、激しい企業間競争から人員削減を強力に進めるとともに、高い人件費や強い労働組合の影響を避けるために、多くの企業が南部やカナダなどに生産拠点を移動している。このため、ミシガン州は好調な自動車産業の恩恵を受けることができない状況となっている。

〈力強さにかける個人消費〉

 中西部の個人消費は、2004年を通じて堅調に推移していたが、年末以降、力強さを失いつつある。ホリデーシーズンの消費は、前年を上回ったものの、期待したほどの伸びは見られなかった。2005年に入っても消費の伸びは鈍く、アパレルや家庭用品は堅調なものの、電気製品が大きく落ち込んでいる。

(転機を迎える住宅建設)

 金利低下と住宅資産価値の向上などから順調に増加してきた住宅建設であるが、徐々に不透明感を増してきている。中西部における新設住宅建設許可件数は、2004年を通じて順調に拡大してきたが、2005年1月は、高成長した12月(前月比8.8%増)の反動もあって、前月比10.7%減と大きく低下した。
 個人住宅の販売は地域ごとにばらつきがでてきており、シカゴ周辺は比較的堅調なものの、雇用環境の悪化するミシガン州やインディアナ州では低迷している。ウイスコンシン州では、高級住宅の販売が好調である。一方、商業用ビルは全般に好調となっている。
 依然として低い住宅ローン金利や住宅価格上昇による資産効果、将来の金利上昇を見越した需要により増加を続ける住宅建設であるが、2005年の住宅ローン開始額は2年続けて大幅に低下することが予測されており、予断を許さない状況にある。

(表参照)