2. 工作機械
 

 

中西部・イリノイ州の経済ホーム

 

目次

 

I. 中西部・イリノイ州の経済

 

II. 主要業界の動向

1. 建設機械

2. 工作機械

3. 機械部品

4. 鉄鋼

5. 電気・電子部品

6. 金融

7. 小売

8. 海運

9. 航空

10. フォワーダ−

11. 建設・不動産

12. 情報

13. 観光

14. 農業

 

III. 当地日系企業の経営課題

1. 税務・財務

2. 法務・雇用

 

IV. 中西部の社会・経済指標

議員・知事リスト

 AMT (Association for Manufacturing Technology)およびAMTDA (American Machine Tool Distributor's Association)の統計(USMTC = US Machine Tool Consumption)によれば、2004暦年の全米の工作機械受注合計金額は切削加工機および鍛圧機械を合わせて3,000百万ドルと対前年度比43.6%増加し、2001年から3年間続いた市場規模の大幅な縮小に歯止めがかかった。これは2003年秋以降の景気回復に伴い、自動車、一般産業機械、建設機械、航空機、宇宙・防衛関連、エネルギー関連、医療などのコアとなる産業で設備増強・更新投資が活発化し、加えてこれを促進する政策減税が後押しした結果と言える。ただ, 全体としては過去のピークだった1997年の実績 $5,555百万ドルに比較するとまだ半分強の54%であり、直近のピークであった2000年の $3,985百万と比較しても75%の水準に留まっている。2005年はこの回復傾向が持続するものと見られ15-30%の伸びが期待されている。

 (注) 上記実績は会員各社の報告数字に基づくもので全体市場の75%と推定される。

1)地域別状況

 中西部(イリノイ、ウイスコンシン、インディアナ、オハイオ、ミシガンの5州)の工作機械受注実績も全米の傾向とほぼ同じ推移を示しており、2004年の実績は1,163百万ドルで対前年比40%の増加となった。USMTCの統計では他4地域の伸び率は、北東部60%、南部16%、中央部48%、西部79%となっている。伸び率だけを見ると中西部は4位となるが受注の絶対額では全米の38.8%を占めておりダントツのトップシェアを維持している。その中西部で40%の伸びが実現したのは、やはり最大の自動車産業の回復・発展が大きく寄与していることは間違いない。加えて、一般産業機械、建設機械、医療関連などの好調も大きい。西部の伸び率が極端に大きくなっているのは防衛関連の投資が出てきている関係と考えられるが、前年実績が少なかった事にも起因している。比較的安価な労働力と労組問題の少ない南部地域へのシフトは継続した流れであるが、2004年は一段落し受注面では南部地域は16%の伸びに留まっている。

2)中西部最大の需要家―自動車産業

 中西部における工作機械の最大の需要家は自動車産業である。全米の自動車産業の製造拠点のかなりの部分が中西部に存在しており、自動車メーカーおよび自動車部品メーカーの工作機械への投資動向は中西部の工作機械販売状況に大きな影響を与える。米国商務省自動車課の統計によれば、2004年の乗用車および非商用小型トラックの販売台数は16,848千台で、2002年の16,808千台, 2003年の16,622千台と続いた漸減傾向にも歯止めがかかったと言える。過去最高だった2002年の17,332千台に比べても97%強まで戻しており安定した販売実績を示している。
しかし、内容的にはビッグスリーの逓減傾向が続き日本車を中心とする海外メーカーが着実にシェアーを伸ばしている。即ち、16,848千台のうちGM, フォード、クライスラーグループのビッグスリーの合計は9,864千台となり2003年に続き1千万台を割り込んだ。シェアーも2003年の60.2%から58.5%へとはじめて60%を割り込む結果となった。一方で輸入車を含む海外メーカーの販売台数は全体で1.5%増で、とりわけ日本車メーカーの5,154千台は30.6%のシエアーを占める事となり、はじめて30%の大台に乗せた。単月ベースの販売台数においてはトヨタがクライスラーに肉薄しており、ビッグスリーの一角が入れ替わる可能性も出て来ているのが現状である。直近の状況では、米国メーカーが得意としその収益の拠り所としているフルサイズトラックの分野でも日系メーカーの本格的参入が始まっており、米国メーカーにとっては一層厳しい状況になるものと予想される。
 また、米国自動車メーカーの部品調達状況に大きな変化が見られる。今までのような系列にとらわれない調達が数多く見られ、米国系の部品メーカーからたとえば日系部品メーカーへの切り替えも進行している。
 自動車部品がどこで製造されるかという点も中西部での工作機械販売に与える影響は大きい。前出の商務省自動車課の統計では、2004年の自動車部品の輸入総額 $83,444百万のうち、カナダ、メキシコのNAFTA2ケ国で全体の52%となっており、続いて日本が18.6%, EUが13.2%と上位を占めている。特にメキシコからの輸入は最大で全体の27.7%を占め伸び率も9.8%と拡大が続いている。しかしながら、伸び率で言えば中国からの自動車部品輸入が突出した形となっている。2004年実績は $3,884百万で前年度比伸び率が39.3%となった。6年前の1998年の実績 $1,037百万の実に3.7倍となっており中国製部品輸入が急増していることがわかる。これは、コスト競争力をより高めるため、米国系の部品メーカーがメキシコ、中国など生産の海外シフトをより一層進めている結果である。
 自動車部品に限らず、中西部に多い一般産業機械メーカーも部品調達先を海外へとシフトしている。 また、この傾向は部品調達だけでなく更に最終製品組 立てにまで波及して行っている。
 以上、自動車販売の推移、構造変化を踏まえ、一方で自動車部品・一般産業機 械メーカーの動向を見ると、今後も更にグローバル化が進み生産の海外シフト が続くのは間違いないと考られる。工作機械の販売の観点からは、これはネガ テイブ要因となるが、しかしながら、大局的にみれば前述のコアとなる各産業 の生産のマジョリテイはやはり米国内に残る事は間違いなく、米国製造業の将来を悲観視する必要はないと考える。加えて、日本と共に世界をリードする米国がナノテク技術や超微細加工をはじめとするいろいろな最先端技術分野における今後の投資を拡大して行くことは確実であり、中長期的に見ても工作機械 市場の将来は明るいと言える。

(表参照)