1. 米国経済指標
11月の住宅着工戸数は前月比13.1%減。2ヶ月ぶりのマイナスで、半年ぶりの1,700千戸台であったものの10月の数値は2,039千戸で2003年12月以来の高い数値であった。11月末に発表された10月の新築一戸建て販売は前月比0.2%増の1,226千戸で過去3番目の高い数値となり、依然として米国における住宅バブルが続いている。
11月の主要小売業伸び率は前年同月比1.7%増と2003年11月の3.7%増を大きく下回ったが、11月の全米小売売上高は前月比0.1%増で3ヶ月連続して前月比増となった。昨年、3回も前年比割れとなったことを勘案すれば消費は何とか持ちこたえたと言える。
米国経済赤字を背景としたドル安の基調は中長期的に変わらないとの見方が多い。
滞船問題、原油の高止まり、さらにパナマ運河通行料値上げ等々コンテナ船社にとって収益面でのマイナス要素は多いが、当面の荷動きそのものは堅調に推移するものと見られている。
PMA(Pacific Maritime Association)のレポートでも2005年も引き続き好調が見込まれて居り、2004年同様に二桁成長となる見通し。特に全米コンテナ輸出入貨物の70%を処理する西岸、中でも全西岸を経由するコンテナ貨物の約70%が集中するLosAngeles/Long Beach地区では今年も活況が確実な情勢となっている。
2. 2004年度の荷動き状況
日本海運振興会が纏めたアジア/米国間のコンテナ荷動き量推移によると、昨年10月は過去2番目の95.7万TEUを記録、6ヶ月連続して90万TEUを維持した。
しかし、前年同月比の伸び率は7.5%と予想を下回る結果となった。これは、西岸、特にLos Angeles/Long Beachにおける滞船問題が引き続き影響を与えたもので、若しも滞船がなければクリスマス商戦向け貨物の増加で100万TEUの大台をあっさり突破したのは確実と思われる。
2004年1月〜10月累計では、往航荷動き量は前年同月比14.3%増の894万TEUとなり、通年では初めて1000万TEUの大台突破が確定した。
3. 往航の国別荷動き量
昨年11月から12月の荷動きは、積み残しを考慮すると90万TEU台前後で推移したものと推定され、月間ベースで100万TEUの大台乗せは今年以降になりそう。但し、18ヶ国ベースで見ると101万TEU(前年同月比8.4%)と、昨年3回目の100万TEU超えを記録した。
国別では最大の輸出国である中国は前年同月比20.3%増の57.2万TEU(全体に占めるシェアは59.8%)と荷動きシェアともに中国積み貨物の過去最高を記録した。2004年に入り10ヶ月連続で前年同月比二桁増の伸びを示し依然として好調を持続している。
一方、香港は、同22.4%減の10.3万TEU(同10.8%)であった。この結果、中国と香港合計では同11.0%増の67.5万TEU (同70.5%)、シェアは2ヶ月連続で70%台を維持、荷動き、シェアともに過去最高を記録した。
日本積みは同5.6%減の6.5万TEU(同6.8%)、韓国積みは同0.8%減の4.2万TEU(同4.4%)となった。
他主要国は表の通り。(表参照)
4. 往航、品目別荷動き
上位10品目の合計は55.4万TEU(前年同月比6.1%増、シェア57.9%)と過去最高の荷動きとなった。 従来、往航荷動き全体を引っ張っている家具及び家財道具などの住宅関連貨物は依然として高い水準を示している。 自動車関連品目では、自動車部品が前年同月比、前月比ともに減少であったが、此れは米国新車販売が9月以降2ヶ月連続して減少した影響と思われる。 主な商品は表の通り。(表参照)
5. 復航荷動き
2004年10月の米国からアジア12ヶ国へのコンテナ荷動きは、前年同月比0.7%減の32.5万TEUと1月以来9ヶ月ぶりに前年同月比減となった。この結果、1〜10月の累計は319.8万TEUで同4.2%増となった。
国別でとらえると、荷動きの中心は往航同様に中国+香港でありるが、中国の減少、香港は10ヶ月連続の減により、2004年後半は低迷状態が続いている。日本は2003年11月以降、12ヶ月連続の前年同月比減となった。
往航を100とした場合の復航の比率は、好調の往航、低迷の復航の構図が依然として続いているが、10月は若干改善されたものの、その数字は34.0%という大きなインバランスを表すものとなっている。国別でのインバランスを見ると、日本105.9%、韓国86.8%、台湾66.2%、アセアン全体で39.8%で、日本は往復航ベースのバランスに限ってみれば優等生である。然し、全体のインバランスに最も大きな影響を与える中国+香港は20.3%となっており、大きく往航に偏ったトレードとなっている。(表参照)
6. 2005年トレード予想
OECD(経済協力開発機構)は昨年11月末に発表したエコノミック・アウトルックの中で、短気的な経済指標の一部は世界経済の回復の勢いが弱まるとしているが、OECDのモデル分析では、主要OECD諸国経済は回復を維持する見通しとなっている。マクロ政策による景気刺激は消減。金融緩和的なスタンスは修正されつつあり、予想期間中により中立的なものとなる。財政は一定の引き締めを予定。但し、石油価格の更なる高騰が生じないことを前提とすれば、世界経済は今後より緩やかな成長期間を経て、2005年中に勢いを取り戻し、残りの停滞も2006年には解消されると分析。相対的に世界経済は成長基調で推移すると見ている。 内閣府は世界経済は2003年後半から主にアメリカ、中国経済の拡大に牽引される形で、景気回復基調が続いており、2004年は前年を上回る3%台後半の成長が見込まれる、としている。但し、2005年はこれらの国々の経済成長率の低下が世界経済全体に波及するため、3%半ば程度に低下するものと見られるとし、経済成長は続くものの、やや弱含みになるとの見解を表した。
今後予想されるリスクとして、原油価格の高騰の長期化以外では、世界経済を牽引してきたアメリカ経済、中国経済の急速減、米国の巨額の経済収支赤字の為替レートによる大幅調製を揚げている。
7.米国経済動向
2004年の第1四半期、第2四半期、第3四半期の米国GDPの成長率は、前年同期対比それぞれ4.5%、3.3%、4.0%となって居り、第4四半期の速報値は3.1%増で、前期の4.0%の伸び率を下回ったが、2004年暦年では4.4%となり、2003年の3.0%を大幅に上回る5年ぶりの高い成長率となる模様。
失業率は、設備投資の増大を背景に雇用が回復しており、2003年の6月の6.3%を近年のピークとし2004年12月には5.4%まで下がっている。
また、一時はもたつきが報じられたクリスマス商戦であったが、蓋を開けてみると米国の小売販売の様子を示す同一店舗売上高は、12月が前年同月比3.1%増となり、2004年通年では、前年比4.0%で2003年の2.9%を上回った。
2005年の米国経済は、原油高の影響が気になるも、設備投資の増大、雇用の回復、継続的な個人消費の伸びにより、引き続き堅調との見方が多い。 米国政府は2005年の実質経済成長率を3.5%を見込んでおり、また、Wall Street Joumalは、原油価格の安定、ドル安が米企業の競争力を利とするとして3.6%とするなど、米経済紙の予想は4.0%程度の楽観的なものが多い。
2005年度のGDPの成長率は、3%を上回るものと思われ、それに伴ないE/Bの荷動き総量は、Drewry Shipping Consultant(英)は12.7%、Clarkson Research Studies(英)は11%、最も固いと言われているJOCでも9.5%の伸びを予想している。
米国のGDPの成長率と、E/Bの荷動きの相対関係は下記の通りとなっている。(表参照)
8. 今後のコンテナ船輸送の問題点
2004年夏場に始まった北米西岸での港湾の混雑により、ピーク時には約100隻の沖待ち、約1週間のスケジュール遅れが発生した。従来、ピーク時にこうした現象が発生していたが、ストライキ時を除き、今回の様に多くの船が長期に渡り影響を受けた事は無かった。北米西岸の状況は、荷動きの増加に対し、各船社とも船の大型化で対処し、LA/LBでも処理能力を高める為に200エーカークラスのメガターミナルを建設する等手を打っていたが、予想外の貨物量の増加にターミナルの収容能力や労働力の増加が追いつかず、一旦抱え込んだバックログを解消出来ない状況に陥った。
一方、港湾からの内陸輸送のインフラにも問題がある。鉄道貨車、内陸のターミナル等のインフラが毎年の貨物の伸びに応じて整備されてきていない事、コストセーブの為、機関紙をレイオフし労働者不足が発生、その為、便数が減少した事等で積み切れない貨物が滞留し、港のターミナルから鉄道ターミナルまでのトラックもスムーズに動かせないと言った状況も発生していた。西部鉄道の貨車不足によりヤードスペースが圧迫され荷役効率が低下してきた所に、6月20日父の日、7月4日独立記念日の休暇が相次いだ事が重なり、ピークシーズン前に大量のバックログを抱え込む事となった。
このバックログを解消する為にILWU(国際港湾倉庫労働組合)/PMAでは3000人の労働者を臨時に新規雇用を行った。この3000人はILWUの技能のランクで一番単純な労働に従事するカジュアルと呼ばれる臨時雇用者である。つまり、養成するには時間を要する未熟練労働者であり、ガントリークレーンやストラドルキャリア等々荷役機器のオペレーター等、高度な技術を有する労働者は十分に手当て出来なかった。結果として滞船は1週間を超えたケースもあった。現在はスラックシーズンに入っている事及び各社の減便等の対応で船混みは解消している。混雑の一原因である労働者の数や能力の不足問題については、米国港湾では組合が強く、貨物が増えたから人を増やすと言う伸縮性が基本的に乏しい。また、基本的に閉鎖的で、雇用制度等に不透明な部分が多い。今回の混雑に対処するために臨時の労働者を雇用したが、今後のため労働者にどの程度高度な技能を取得させる事が出来るかがポイントとなる。
また、一昨年の労働争議ではITの導入に組合が反対した事に関しては、現在、各ターミナルはITを次々に導入していく方針、ピーク時にも労働者の数を増やさなくても済む様な体制を目指している。 然しながら、IT化に関しては各ターミナルにおき、大きな開きが出ている。
ターミナルの収容能力については、ロスの港はもう拡張の余地は無い。ロングビーチ港は拡張計画があるが、一般に米国では港湾拡張に対しては環境意識が高い周辺住民の反対が強い。米国の港自体が一般に環境規制をしている様だが、LA/LB地区では、入港後、本船の電源器停止させる事を検討している。1方、陸上の電源を使うしかないのに、その電源の容量が足りない等、今後いろいろと環境規制に起因する問題が増える事が予想される。
今後の港湾機能の改善に関し、基本的条件が変わらない限り、本年のピークシーズンの貨物ラッシュ時期には、昨年と同様の混乱が起こる事が予想されている。今後に関しては、港湾が一体となってターミナルが今回の事態を反省し、何処まで能力を改善出来るかが西岸の機能回復の鍵となる。
もう一つの問題は各船社のコンテナ不足問題がある。2004年にはコンテナメーカーは鋼材不足のため、生産に遅れが生じたり注文を受けられない事態が発生した。今後、本年のピークに備えコンテナ発注が増え再び鋼材不足が発生する事が懸念されている。世界全体で貨物が増加し、それに伴う船腹の急増も結果、リプレースも含めた新規コンテナ数の生産は急激に増加して居り、此れに昨今の港湾混雑でのコンテナ回転率の落ち込みからコンテナの絶対量が不足しつつあり、スペースが有っても貨物を運べないと言った事態が起こる可能性も秘めている。
現在のコンテナ貨物輸送に関しては、上記の通り西岸のターミナル問題、鉄道問題、機器関連問題等々が有り、どれを取っても船社のコストアップは避けられない状況。現在のサービスの維持、荷主のサプライチェーンの維持の為には、どうしても船やターミナルへ/機器への投資が必要となる。 また、鉄道会社が値上を行う事は必至な状況。 その全てを荷主に負荷する事は出来ないが、本年以降もある程度の値上が必要な状況となっている。