12. 情報
 

 

中西部・イリノイ州の経済ホーム

 

目次

 

I. 中西部・イリノイ州の経済

 

II. 主要業界の動向

1. 建設機械

2. 工作機械

3. 機械部品

4. 鉄鋼

5. 電気・電子部品

6. 金融

7. 小売

8. 海運

9. 航空

10. フォワーダ−

11. 建設・不動産

12. 情報

13. 観光

14. 農業

 

III. 当地日系企業の経営課題

1. 税務・財務

2. 法務・雇用

 

IV. 中西部の社会・経済指標

議員・知事リスト

 ある統計によると企業が情報システムに投資する割合は、年商のおよそ8%と言われているが、実際にはこの中に含まれていない情報投資がある。それは、倉庫や工場などで生産設備に組み込まれて使用されるシステム―自動倉庫システム、生産ライン監視システム、アンドンシステム等々―であり、設備投資と見られる場合が多いが、明らかに情報システムへの投資である。今後、特に自動車業界各社は、法令順守、メーカからの要請、経営強化策といった要因により、製品やその構成パーツの製造履歴を管理するトレーサビリティシステムへの投資を増していくものと予測される。
自動車業界におけるトレーサビリティー確立への取り組み動向

1.トレーサビリティ普及の加速要因(外的要因)

 近年多くの自動車メーカ、パーツサプライヤが2Dバーコード(2 Dimension Barcode)、RFID(Radio Frequency Identification)を構成アセンブリやパーツレベルのトレーサビリティ確立のツールとして検討、利用し始めている事実には、次のような背景がある(図1)。昨年GMが自動車ワイパー制御回路不良を適時にリコールしなかったという理由で、100万ドルの罰金を課せられた。また、Ford-Firestoneのタイヤ破損事故を期に、TREAD法(Transportation Recall Enhancement, Accountability, and Documentation Act)が制定され、OEMメーカ、パーツサプライヤに四半期ごとのクレーム、事故、品質管理情報のNHTSA(National Highway Traffic Safety Administration)への提出を義務付けた。一方、企業運営コストの面では、一台の車をリコールするのに必要な平均コストは、700ドルに上ると算定されているが、近年メーカは、このようなコストの一部をパーツサプライヤに保証請求することで回収するようになってきている。

2.加速要因(内的要因)

 前述のような外的要因によるばかりではなく、トレーサビリティの確立が、生産性や品質向上、問題の早期発見、出荷間違いの削減や納期の短縮に寄与することも今後の導入動機になり得る。しかし、AIAG(Automotive Industry Action Group)の調査よると、TREAD法に適合する企業の66%がトレーサビリティ情報を政府への報告義務のためにだけ取得しているという結果が出ており、社内における情報の活用は今後の課題になっている。その原因は、未だに手作業によるデータ収集と一部は電子化されているが、最終的には紙資料に頼らざるを得ない文書であり(図2)、効率の悪さと正確性の欠如が、ロット管理やシリアル番号による管理を困難にし、リコール対象の増大やリコールタイミングの遅れにつながっている。

3.トレーサビリティ確立の障害

 理想的には、車のVIN(車台)ナンバーに対応して全ての構成アセンブリー、更には、そのサブパーツについて、トレーサビリティ情報を保存し、必要な際に、即座に引き出せればよいわけだが、以下の理由により、現状はそこに至っていない。

 (1)部品点数の増大:1台の車に使用されている部品点数は、1万〜2万点と言われており、10年間で1億7000万台の車が生産される。メーカー等で一般に利用されているデータベース技術では、この天文学的な数の情報を保存し、必要な場合に即座に引き出すことは困難である。

 (2)品番標準の不備:現状ではサプライチェーン間で(場合によっては、同一企業内でも)パーツ番号の一意な取り決めがなされていないために、混乱、遅滞を引き起こしている。間接部品に関しては、Standard Modifier Dictionaryといった分類方法等が試みられている。

 (3)ロット管理v.s.シリアル管理:現状では多くの構成アセンブリがロット単位で管理されており、シリアル番号で管理されるのは、エンジン、エアバッグ、その他の安全性に関わる構成部品に限られている。しかし、先に挙げた、行政義務やメーカ圧力といった外的要因により、近い将来他の構成アセンブリにまでシリアル番号管理が要求されると予測される。

 (4)システム間の情報共有:トレーサビリティ情報は、社内の複数のシステム上に存在しているが、情報が共有されているとは言い難い。更に、サプライチェーンに跨って共有されている例はほとんど見受けられない。AMR社の調査によると、半数以上のサプライヤが顧客から求められた場合にのみ情報を開示すると回答し、しかも、安全性に関わらない構成部品に関しては、手作業で情報を探し出している。

4.取り組み事例

 最後に、いくつかの企業、団体におけるトレーサビリティ確立への先進的な取り組みを見ていくことにする。

・ AIAGは、パーツ認識ガイドライン(B-4)、タイヤトラッキング標準(B-11)、直接マーキングガイドライン(B-17)といった標準を制定して、企業のトレーサビリティ確立を促進、企業間の情報共有の壁を低くするよう努めている。

・Fordは、バーコードとRFIDを組み合わせて、エンジンの仕掛品をトラッキングするシステムの開発に積極的である。例えば、エンジンのシリアル番号から、作業工程、作業工場、作業者を即座に割り出すことができる。

・ 車載エアコン等を製造するKeihin Airconは、出荷用コンテナ番号から製品のシリアル番号を数分以内に特定可能な体制にある。現状顧客であるHondaはコンテナ番号を記載することのみ義務付けているが、将来の要求を先取りしたケースと言える。これは、バーコードシステムと自社のERPシステムを統合することによって可能となった(図3)。

・タイヤメーカのMichelinは、RFIDベースのタイヤタグを自社開発し、個々のタイヤと特定の自動車をリンクしている。現状は、TREAD法への適合性と自社の在庫管理に利用しているのみだが、サプライチェーンの効率化、タイヤ空気圧監視システムとの併用の可能性もある。

(表参照)