■企業向けの団体健康保険
アメリカで生活していくうえで
必要な知識のひとつ。それが健康保険です。
アメリカでは一般には民間医療保険を利用しており、
現在、全米企業の約98%が福利厚生の一環として、
従業員、その扶養家族を対象に、健康保険を提供
しています。それでは、その団体健康保険について
種類ごとに簡単に説明していきましょう。
■生命保険(Life Insurance)
団体健康保険として一般的に含まれる生命保険は、定期保険と呼ばれる
一定期間のみを保障する掛け捨てのものです。
保険金額は企業によって予め決められています。
企業によっては、従業員の年収の1〜2倍を保険金額として設定している所もありま
すが、大半が20,000ドル程度と決して充分な補償額では無い為、従業員が
保険科を負担するという任意のもとに、それぞれが追加で加入する任意
加入の生命保険(Supplemental Life Insurance Voluntery Life Insurance)を
提供している企業も増えています。
通常、災害特約(AD & D, Accidental Death & Dismenberment)や、公共交通機
関特約(Common Carrier)などがセットになり、死因によっては、保険金が2倍、
3倍となります。
■短期所得補償保険と長期所得補償保険
STD & LTD(Short Term Disability Insurance And Long Term Diability Insurance)
長短期の就業不能の場合に、従来の所得の一部を一定期間補償するもの、
それが所得補償保険です。保険会社により
によりプランの内容は多少異なりますが、大抵、短期(最高1年位迄)と
長期(30日から1年の給付除外期間後、65歳又は社会保障給付(Social Security
の始まる年まで)に分かれており、どちらか一方、もしくは両方一緒に企業より従業員
に提供さます。
所得の補償率は、各従業員の基本給の50%〜70%で、パートタイムで復職した場合
にも、部分的に保障金を支払うなどのシステムもあります。
■医療保険(Medical Insurance)
疾患、怪我などによる検査、治療にかかる費用の保障を対象とする保険
で、一番なじみのある保険です。
保険加入後、保険会社より保険証(IDカードもしくはインシュランスカードと呼ばれます)
が交付されます。
医療機関を利用する際は、毎回そのIDカードの提示を求められますので、
常時このIDカードを所持して下さい。
近年のアメリカでの医療費の上昇は著しく、その医療費の保障を対象と
した医療保険料もそれにあわせて上昇しています。
その対策として生まれたものがマネージドケアです。マネージドケアとは、
被保険者がより適当な医療サービスを出来るだけ少額の自己負担で受けられる様に、
医師、病院等と保険会社とが提携、協力して出来たシステムで、元来の伝
統的プラン(Indemnity Plan)をしのぐ勢いで普及しています。
ここでは伝統的プラン、及び3つの代表的なマネージドケアを比較してみましよ
う。
■伝統的プラン(Indemnity Plan)
最もシンプルな昔からあるプランで、
被保険者が好きな医療機関で検査や
治療を受け、保険会社にその費用を
請求し、保険会社の方から保険対象
となる費用の一部を払い戻すという
ものです。
保険会社からの拘束が少
ないというのは大きな利点ですが、
治療後、給付が認められない場合も
あるので注意が必要です。
■HMO(Health Maintenance Organization)
保険会社と契約している医療機関内
(ネットワーク内)で生じた医療費のみ保
険が有効になるというもので、最初に主治医
をそのネットワーク内から選び
被保険者は、その主治医の指示のもと
に様々な検査、治療等を受けることが
できます。被保険者の自己負担が他の
マネージドケア、伝統的プランと比べ
て少額なので、自分にあった主治医が
保険会社と契約しているのなら理想的
なプランといえましょう。
■PPO(Preferred Provider Organization)
保険会社と契約している医療機関を利用することにより、高額の割引(5%〜40%)
と、より高い給付金が保険会社より支払われます。
直接専門医に行くことができることと、契約していない医療機関を利用しても、
保険会社からの給付が受けられる(給付率は少し下がりますが)という点が、
PPOが他のマネージドケア、伝統的プラン以上に人気を集めている秘密でしよう。
■POS (Point of Service)
HMOとPPOの両方のスタイルを持った最も新しいマネージドケアです。
PPOの様に、ネットワーク以外の医療機関を利用しても、保険会社より給付
が受けられ、出来るだけ少額の自己負担で治療を受けたい場合は、HMO同様、
ネットワーク内から選んだ主治医を必
ず通して治療を受けます。
以上、それぞれ長所、短所があるので、
一体自分の企業がどんな保険を持ってい
るのかを知り、上手く医療機関を使い分
けることが、少額の自己負担で最適な治
療を受ける為の重要なボイントになりま
す。
また下記の点にもご注意下さい。
*保険証について
保険証(IDカード)が交付される際
に気をつける事として、それが本当に
医療保険のIDカードかどうかという事
があります。
多くの医療保険には、「処方薬購入カード」というものが特約と
して付いており、提携の薬局(全米の8〜9割が加入)にてカードを提示します
と、少額の自己負担分($3〜$15)だけで処方薬の購入が出来ます。
*Pre-Treatment, Pre-Surgery(手術、治療事前承認制度について)
アメリカで問題になっている過剰治療
を防ぐ為に、保険会社が厳しく要求し
ているもので、高額、長期の治療を必
要とする場合、事前に保険会社に連絡
をし、その治療が適切かどうかが審査
されます。
治療の必然性がはっきりし
ない場合は、担当医以外の医師に再診
するよう指示がある場合もあります。
この連絡を怠った為に、大幅の給付金
がペナルティーとして削減される事も
ありますので〈$500〜$5,000位)長期、
高額の治療前には、必ず保険会社に連
絡して下さい。
■歯科保険(Dental Insurance)
歯科保険は大抵、予防治療、基本治療、高額治療の3つの項目に別れていて、そ
れぞれ給付率が異なります。
予防治療などは100%保険会社より給付金が支払
われるプランというのも多く、どの保険会社でも、この早期発見、早期治療
を高く奨励しています。
特約で、19歳までの子供を対象とした、歯列矯正の給付を加えることもできます。
歯科保険は、給付対象外となるものもかなりあるので、$300以上の治療を受ける前
には、保険会社に見積もりを出す事をお勧めします。
■視力治療保険と聴覚治療保険
(Vision Insurance And Hearing Insurance)
これらは、新しい団体保険で、まだ他の保険に比べ一般化していません。
その名の通り視カ、聴覚を助ける検査器具などにかかる費用を給付の対象と
した保険で、具体的には眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器購入費などが例として
挙げられます。
高齢化が進んでいるアメリカで、これらの保険は今後ますます注目されるしょう。
■Flexible Account
企業で提供している団体保険の最後として一言加えておきたいのが、
のFlexible Accountです。
保険というより税金対策のプランで、従業がそれぞれ予測した医療(自己負担分、
保険料等)子供の託児所、老人ホーム等にかかる費用を予め、企業が給料より差
し引き、それらにこの多額の税金が従業員、企業両方にかかないようにするという
ものです。
稼ぎの多いアメリカで、税金の節約が出来るFlexible Accountは人気上昇です。
以上が、アメリカでの企業向けの団体(医療)保険の概要です。
どの保険会社の、どのプランを持っているかにかかわらず、一つ言えるのは
「アメりカでは、保険加入者が、かなり積極的に色々とやらなければいけない」ということです。
先に取りあげた手術、治療事前承認制度をはじめに、被保険者が保険会社、医療機関等と
直接交渉しなければならない事が多々あります。
内容が内容だけに、言葉の問題も加わり、難しいこともあるので、
日本語の出来る代理店、保険会社を利用するのも一つの対策です。
尚、個人向けの生命・健康保険は団体健康保険と保険プログラム条件などが少し異な
りますので、代理店にお問い合わせをお勧め致します。
(執筆:本田アンドアソシエーツ 谷本 武士氏)
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