「Field Museum特別展「ポケモン化石博物館」 ~チーフ・プリパレーター: 新谷 明子さんに会いに行こう~」開催報告

JCCC会員サービス委員会・文化担当では、8月12日(水)に「Field Museum特別展『ポケモン化石博物館』〜チーフ・プリパレーター 新谷明子さんに会いに行こう〜」を開催しました。

「ポケモン化石博物館」は、FieldMuseum(フィールド自然史博物館)において今年5月から来年4月までの期間限定で開催されている特別展です。同館では、新谷明子さんがチーフ・プリパレーターとして活躍されており、シカゴで第一線を担う日本人専門家の活動を紹介するとともに、日本発コンテンツ『ポケモン』を通じた学びの機会を提供することを目的として、本講演会を開催する運びとなりました。

新谷さんはカナダのトロント大学卒業後にField Museumへ入館され、2003年からチーフ・プリパレーターを務めておられます。現在は3つのラボを統括し、化石のクリーニングや修復、レプリカ制作などを担当・監督されています。講演では、世界に14点しか存在しない始祖鳥の化石のうち1点のクリーニング・修復作業に携わった経験についてお話しいただきました。始祖鳥は鳥類の祖先とされ、その化石は現代の鳥の骨と同様に内部が空洞で非常に繊細なため、作業には約1,300時間を要したとのことでした。

また、Field Museumの魅力についてもご紹介いただきました。同館には約40万点もの標本が収蔵されていますが、実際に展示されているのはそのうち約2%に過ぎず、多くの標本は研究に活用されているそうです。Field Museumが過去の発見を紹介する展示施設であると同時に、新たな知見を生み出す研究機関としての役割も担っていることを知る大変興味深い機会となりました。さらに、新谷さんは新たな恐竜化石の発掘調査にも携わっておられます。発掘は国際チームで行われることが多く、綿密な地質調査を実施した上で、その場所に適した機材を準備し現地へ向かうそうです。南アフリカのような温暖な地域から南極のような極寒地域まで、調査地によって必要な準備は大きく異なり、地域との連携の重要性や、化石の搬出・輸送まで気を抜けない作業であることについてもお話しいただきました。

「ポケモン化石博物館」がシカゴで開催されることになったきっかけについても興味深いエピソードを伺いました。新谷さんが日本帰省中に東京・国立科学博物館で開催されていた巡回展を見学し、その科学的・教育的価値に強い関心を持たれたことから、Field Museumでの特別展開催につながったそうです。また、一見すると架空の存在であるポケモンも、キャラクターデザインには科学者や生物学者の知見も取り入れられており、現生生物や絶滅生物をモデルにデザインされていることをご紹介いただきました。そのため本展では、「カセキポケモン」と実際の化石・古生物を見比べながら、共通点や違いを発見し、古生物学への理解を深めてほしいとの思いが込められているそうです。

平日の開催にもかかわらず、本イベントは受付開始から数週間で満席となる大人気企画となりました。夏休み期間中ということもあり、多くの子どもたちにもご参加いただきました。講演後のQ&Aセッションでは、子どもたちから次々と質問が寄せられ、その旺盛な好奇心と学ぶ意欲に、強い感銘を受けました。さらに、新谷さんには本物の恐竜化石を数点お持ちいただき、実際に触れる体験の機会もご提供いただきました。参加者にとって大変貴重で忘れがたい体験となりました。JCCCではこれまで子ども向け講演会を開催する機会は多くありませんでしたが、未来を担う子どもたちに学びの機会を提供することは、JCCCの活動としても大変意義深いものであることを改めて実感しました。

最後に、子どもたちにも分かりやすいよう、多くのイラストや写真、動画を交えた素晴らしいプレゼンテーションをご準備いただき、貴重なご講演を行ってくださいました新谷明子さんに、心より御礼申し上げます。

日時
8月12日(水)10:30AM-11:15AM
場所
FIELD MUSEUM(フィールド自然史博物館)
参加者数
48名
参加費
JCCC会員(会員企業にご勤務の方とその家族も含む): $28  非会員:$58