「2025年度版 中西部・イリノイ州の経済」発行のご案内

2025年度版 中西部・イリノイ州の経済」こちらからご覧ください。

 

「中西部・イリノイ州の経済」の発行にあたって

古くは国の「パン籠」(穀倉地帯)と呼ばれる農業地域として発展した中西部・イリノイ州は、近代に鉄道網整備と工業化を背景に自動車・機械といった製造業による隆盛を極めたのち、70年代以降重工業の衰退(ラストベルト)に直面し地域経済の多角化を迫られました。そうして産業構造転換を経たイリノイ州経済の現在は、農業と製造業に加え、金融・物流・医療などサービス産業も発達し、全米第5位の規模を持つ中西部の経済中核として産業構成のバランスが取れた最も多様な経済と評されています。また、その中心たるシカゴ都市圏には多数の大企業本社が集まり世界有数の金融ハブとなっています。近年では、先端製造技術や量子技術、農業テクノロジー、クリーンエネルギー、データセンターなど新産業も育っており、こうした強みを背景にイリノイ州は長期的にも安定した経済成長を続けています。

グローバル経済に目を向けると今年は何といっても関税の衝撃に尽きますが、折り返しの6月時点での世界経済の成長率は08年の金融危機以来の低水準にあります。7割の国々で成長予測が下方修正され、特に途上国の停滞が深刻化しインフレ率も高止まりしています 。米国経済も減速はしているものの堅調な雇用と所得が個人消費を下支えし景気は今のところ底堅く推移しています。然し、関税の影響がより顕在化する今後は減速傾向が強まり通年での成長率は前年より低下する見通しです。

世界最大である米国経済の減速やその政策予測不能性が世界経済に与える影響は計り知れません。高まる地政学的リスクも相まって、事業活動や戦略立案にあたり視界不良を通り越して視界ゼロの感覚に陥っている方も多いのではないでしょうか。このような環境にあって、多様な産業が集積する本地域の経済動向を現地の耳目を以て把握する重要性はより高まっているように思います。本誌(『中西部・イリノイ州の経済』(年1回発行))は当地域で各方面・専門分野で活動されている会員企業・団体を代表する方々が各業界・市場の「今」を切り取って判り易く解説しており、そうした暗夜航路を幾許でも照らす灯火となれば幸いです。

日米間交渉の行方にも注目が集まります。その帰趨が如何なるものであっても今後の日米関係の在り方に変化を齎すでしょうが、その根底には長年にわたり築かれた強固な二国間関係があることも確かです。これを機に新たな成長が見出されることあるのではないでしょうか。今年シカゴの姉妹都市・大阪の地で開催されている大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。「夫々の生き方を追求し、持続可能な社会を国際社会全体で共創していく」とのコンセプトに倣い、世界が今一度手を取り合い、協力し共に未来をデザインする方向に向かうことを切に願います。

最後に、本誌の発行に際しまして、在シカゴ日本国総領事館様、ジェトロ・シカゴ様、さらには、当商工会議所各会員、特にご執筆をご担当頂きました会員の皆様に多大なご協力を賜りました。末筆ながらこの場をお借りしまして心より感謝申し上げます。

シカゴ日本商工会議所 会員サービス委員会
委員長 吉岡 道大
Mitsui & Co.( U.S.A.), Inc.