JEEP報告 アケミ・セスラー
Dryden Elementary School, Arlington Heights School District 25
Principal, Ms. Akemi Sessler
皆さんはどこかで「千里の道も一歩から」という諺を耳にしたことがあると思います。その言葉の通りに、シカゴ日本商工会議所とIISTの多大なるサポートのおかげで、遠く離れた日本を訪れ、国内の様々な場所を回り、直接日本の文化や教育を学ぶ機会をいただき、そして想像以上に親切で素敵な人々と出会えたことは大変名誉なことでした。日本訪問自体が私にとって人生を変える素晴らしい出来事でしたが、この経験を通して学んだ事を活かし、周りに良い影響を与えていくことが私の新たな人生の旅の始めの一歩だと感じています。
各学校の訪問では、生徒や先生たちから笑顔で挨拶を受け、中には手を振ってくれる子供たちやウェルカムボードを持って歓迎してくれる子供たちもいました。生徒たちによる歓迎の歌と音楽の演奏は見事なものでした。彼らがチーム一丸となって頑張って私たちのために練習をし、一生懸命心を込めて完璧に演奏してくれたことに感激しました。子供たちからもらった折鶴は、私にとって宝物となりました。各学校の校長先生または教頭先生が私たちの為に忙しい時間を割いて温かく出迎えてくれ、それぞれの学校の特徴をお話してくれました。生徒たちの自己啓発と学習能力を高めるサポートをしている先生たちの様子は非常に印象的でした。学校訪問を通して私が温かく迎え入れられたように、私の学校でも日本を始めとする外国からの新しい生徒や家族を積極的に受け入れ、できるかぎりサポートしようとより一層強く感じました。さらに、低学年の子供たちが給食時に健康的な食事を皆で一緒に食べ、自分たち自身で準備から後片付けをする姿に感動したことから、どの様にして学校という共同体意識や地域社会での連帯感を向上させることができるかと考えさせられました。また、日本文化への理解を深めると同時に、私の学校に入学してくる外国人生徒の試練を手に取るように感じました。プログラム中、英語でのデモレッスンを行ったときに、ビジュアルコミュニケーション、身振り手振りでのジェスチャー、忍耐力、柔軟性、親しみやすさに焦点を置くことが大事だと気付かされました。デモレッスンでは「An Armadillo from Amarillo」の本を基に、地球上で自分たちの住んでいる場所について学び、共有することを課題としましたが、なかなかうまく子供たちに伝わらずとても悪戦苦闘しました。しかし、どの生徒も一生懸命理解しようとし、課題に取り組み、仕上げる姿に心を打たれ、レッスン中に先生たちが生徒たちを優しく励ます姿は、子供たちが困難な問題へ挑戦する力を養う上で教師との信頼関係がなくてはならないものだと再認識させられました。
斑鳩でのホストファミリーや町役場の方々からの温かい歓迎と、迫力ある太鼓の演奏には非常に感動しました。私の素敵なホストファミリーであったチエコさんとアヤカさんには感謝の気持ちでいっぱいです。彼らは私を家族の一員として迎えてくれたのと同時に、美味しい食事を振舞ってくれたり、会話を盛り上げてくれたり、快適なベッドを用意してくれたりと特別なゲストとしても迎えてくれました。また、チエコさんの故郷である大阪に連れて行ってくれ、お城を見学したり、歴史を学び、地元のグルメを楽しみました。彼らがいつかシカゴに遊びに来れる機会があることを願っています。そうすれば、同じように街を案内したり、美味しいものを食べたりして心からの感謝の気持ちを彼らに伝えたいと思います。
日本訪問を経験した事により、地球市民であることがより重要だと感じます。外国であろうと地元であろうと、親しみを込めた笑顔、温かい歓迎、迷っている人を助ける、違う言語を学ぶ、食事を共にする、お互いを良く知る為に面と向かって話すというような関わりが非常に大切であると十分に理解しました。そして、日本でそのような待遇を受けたことにとても感謝しています。日本文化の様々な観点の中でも特に印象的だったことは、協調性、環境への高い意識、チームワーク、そして歴史からの教訓でした。広島の原爆ドームへの訪問の際には、その当時のお話を聞く機会がありました。彼らが残虐な被爆体験を原点とし、世界平和の実現を訴えているということに深く心を動かされました。また、僧侶によって行われた東大寺のツアーは非常に特別で光栄な機会であり、今日の文化における仏教と神道の重要性についても深く学ぶことができました。実際に自分が日本に行き、色々な人と直接知り合うという体験は、写真やビデオ、インターネットでは取って代わることはできません。私は日本滞在中に、自然、建築、田舎、街、歴史建造物、そしてポップカルチャーにいたるまで全ての中に美しさと調和があることに気付き、常に心が高鳴っていました。
私が直接体験した思いやりを大切にする日本文化を、新しく入学してくる生徒たちに伝える努力をしようと思いました。相手には何か前向きな意図があると考慮し、新しい文化に馴染む時間を与え、優しくサポートをし、少しの間違いは大目に見るというようなことが彼らに対してできることだと思います。空港、駅、ホテル、学校、ホームステイ先、レストラン等どこへ行っても優しく丁寧に対応してもらったことは、お手本にさせていただきます。
IISTの方々やツアーガイドの方々は本当に優秀でした。また、今回の日本訪問をこのように素晴らしく意味のあるものにしてくださった関係者全員に感謝の気持ちでいっぱいです。出会った人々は、教育者として地球市民として私のお手本にしたい方々ばかりでした。「恩送り」という言葉の意味するように、誰かから受けた恩を自分は別の人に送り、それがどんどん世の中に広まり、少しでも地球を住みやすい場所にしていければと思います。改めて心からこのような素晴らしい機会をいただいたことに感謝すると同時に、私の「千里の道」がいつか「恩送り」に繋がっていくことを楽しみにしています。