JEEP報告 エイミー・フェイス
Lake Zurich High School, Community Unit School District 95
High School English Teacher Ms. Amy Faith
教育は、子供たちが多文化世界の中で、夢を叶え、情熱を追い求めながら生きていく力を習得する基礎となります。IEJプログラムでの経験を通し、日本文化の中では、個人が教養を高めることよりも、集団の中での協調性と互いを尊重する気持ちが重視されていることを強く感じました。生徒たちは、学校や地域の中でお互いを思いやる心を持ちつつ、学業、趣味、スポーツ等で成果を出すことを期待されています。この概念は私が日本とアメリカの教育や文化の類似点と相違点について考えるにあたり、とても印象深いものとなりました。
公立と私立学校の両方を訪問し、生徒や教職員から話を聞いていると、学校では生徒たちの学力向上を目指すと同時に、これからのグローバル社会に適応するスキルを身につけることにも力を入れて指導が行われていることがわかりました。また、自分が目指す進路に向けて必要なカリキュラムを自分で選択するという、生徒の主体性を重視した教育が行われています。東京にあるインターナショナルスクール私立広尾学園では、日本語と英語の言語能力レベルが異なる生徒たちがペアになり、お互いを助け合いつつ、言語力の向上に努める授業を行っています。このような場面でも、集団の中での協調性と互いを思いやる心という大切なライフスキルが育成されていました。パネルディスカッションの中で、生徒達は履修科目の多さと膨大な量の課題に毎日直面しているという話がありました。しかし彼らは、それらに取り組むことにより、他国の同年代の生徒を上回る能力を身につけることができ、自分たちにとってプラスになっていると前向きにとらえているようでした。私はこのようなことが彼らの自尊心の育成に大変良い影響を与えていると気付きました。
東京の立会小学校の校長に学校案内をしていただいた際には、生徒たちは学業以外にも、毎日自分たちの教室を掃除する義務があるという説明を受けました。また斑鳩の学校を訪問した際も、生徒たちがトイレ掃除をしているというお話をうかがいました。学校をきれいにするということに取り組むことは、環境美化に対する意識を向上させることにも繋がります。勉学に勤しむだけでなく、グローバル化がますます進む世界の中で、生徒たちがどのように環境に適合し、お互いを尊重し合いながら生活していくべきかを教えようとする教職員の皆さんの意欲の高さ、また、その教えを学ぼうとする生徒たちの姿勢に大きな感銘を受けました。立会小学校では、エプロンを付けた給食当番の生徒が給食を教室まで運び、クラスメートに給食を配っていました。その間に他の生徒たちが机を移動させ、ランチョンマットを敷いたりしながら給食を食べる準備を進めます。全員に給食が配られるのを待ってから、全員で一斉に手を合わせて食べ始めます。このように集団で昼食の準備をする光景を、アメリカの学校のカフェテリアではみたことがありません。日本の教育システムは、生徒に学業を教えるだけでなく、社会のルールに従い行動することも指導しています。滞在中に気づいたことですが、日本の電車内がとてもきれいで静かであるという点は、このような学校教育の成果であり、日本の教育の素晴らしいところであると感じました。
また私は学校以外のあらゆる場所で、日本人の心遣いとおもてなしの心、そして地域社会の中での協調性に気付きました。斑鳩公民館で行われたホストファミリーとの対面式では、伝統的な太鼓演奏の披露と共に温かく迎えていただきました。太鼓奏者のパフォーマンスはエネルギッシュで躍動感に溢れ、初めて太鼓の演奏を見る私を含め、その素晴らしい演奏に観客一同は感動しました。演奏後、彼らは私達に太鼓の叩き方を教えてくれ、皆一緒に太鼓に合わせて声を出しました。この時間がホストファミリーとの初対面の緊張を解きほぐす良いきっかけになりました。私のホストファミリーである宇治家のご家族は、私が興味のあることなどを考慮して滞在中のプランを立ててくれていました。彼らのおかげで、日本の文化、歴史、食、家族についてたくさん学ぶことができました。斑鳩の法隆寺、生駒山なるかわ園地、千光寺、枚岡神社、水田、竹林、杉林などを見て歩き、あじさい園ではさまざまな種類の美しいあじさいを観賞しました。帰宅後に手作りのお好み焼きをいただくと、疲れた体に元気が戻ってきました。その後虹の湯温泉を訪れ、ゆったりとお湯に浸かりリラックスするという日本特有の“温泉文化”を体験することができました。この斑鳩でのホームステイの体験を通して、私は一生涯の友達を作ることができました。
IEJプログラムは私の人生を大きく変える経験となりました。私はこれまでも良い教師になることを目指して努力してきましたが、この貴重な経験は、私が教育者としてさらに成長するための大きな糧となったことを確信しています。これからも生徒たちとの繋がりを強く持ち、思いやりの気持ちを忘れず、次なるステップへ踏み出す努力を続けていくつもりです。私が日本で体験し学んだことを新学期で生徒たちや職場の同僚と共有することを楽しみにしています。そうすることにより彼らが外国からアメリカに来る新しい生徒たちに対し、私が日本で迎えられたように温かく接してくれることを期待しています。