JEEP報告 マーク・ノルトナー
Mr. Mark Noltner, 4th Grade Teacher Dryden Elementary School
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IEJのプログラムに参加し、日本から帰国して以来、「マーク、日本への旅はどうだった。」と何度も質問されました。正直なところ、それに答えるのは難しいです。なぜなら初めに頭の中に浮かんでくる感想は、素晴らしかった、人生観が変わった、美しかった等ですが、それだけの言葉では日本で私が実際に体験したことを表すことはできません。この旅を通して何度となく「この経験に勝る出来事はあり得ないだろう」と思ったにも関わらず、それらを超える出来事を次から次へと体験したのです。旅を振り返ると、どの経験も忘れられない思い出となりました。
学校
私たちは、私立の広尾学園と公立の立会小学校と国立の奈良女子大学附属小学校の3校を訪問させていただきましたが、どの訪問も貴重な経験でした。全ての学校は私たちを温かく出迎えてくれました。中でも、立会小学校ではコーラス部と吹奏楽部による歓迎の演奏が行われ、とても楽しく印象深いものでした。日本の旅のスタートにふさわしい素晴らしい歓迎でした。
立会小学校では、デモレッスンを行う機会が2回ありました。日本の生徒たちに教えることができるのは貴重な経験であり、子供たちの学ぼうとする姿勢に感嘆しました。給食の時間になると教室で子供たちによって食事が配膳され、彼らと一緒に食べました。ほとんどの子供たちが英語を話しませんでしたが、一緒にたくさん笑いました。
奈良女子大学附属小学校では私の学校での授業や経験に共通するものがあり、一番印象に残った訪問でした。彼らの学習要項の中には、「総合学習の時間」と呼ばれるものがあり、子供たちが自分たちで考え、率先して何かを作成する時間がありました。校長先生はこの学習活動について詳しくお話をして下さり、私は是非自分の授業の参考にしたいと思いました。
ホームステイ
日本人家庭でのホームステイは、この旅の中で一番楽しみにしていたことで、日本の生活がどのようなものかを知る最高の機会となりました。私のホストファミリーはとても快く私を迎えてくれました。家に着いてから30分もしないうちにおじいさんが私のためにギターを弾いてくれたり、彼の庭を見せてくれたりしました。夕食は皆でたこ焼きを作って食べ、その後で花火をしました。その夜は畳の上に敷かれた布団の中で楽しかった一日を振り返り、自分はこのような優しいホストファミリーと過ごせて、なんて幸せ者なんだと思いました。
次の日、ホストファミリーは私を矢田寺に連れて行ってくれました。小さな庭を見下ろすことができる古い建物の中で抹茶をいただきました。お茶を飲みつつ、子供たちが楽しそうに遊んでいるのを見ながら、ホストマザーとホストファーザーと話をしました。ホストファミリーと過ごしたこの時間は、その美しさと平穏さと共に私にとって一生忘れられない思い出となるでしょう。言葉の壁があるにも関わらず、ホストファミリーの方々は素晴らしくまるで友人達と過ごしているかのようでした。この家族と過ごした一秒一秒は決して忘れることのない特別なものとなりました。
歴史
プログラム中、私たちは日本の歴史を実際に見たり聞いたりする機会がたくさんありました。美しく見事な建築物を見ながら日本の歴史を学ぶ度に、感嘆のため息が出ました。広島平和記念資料館の見学には心が揺さぶられました。実際に原爆が落とされた場所にいるということ、何千羽もの折鶴を見たこと、そして生存者の手記を読んだことは過去に起こった悲惨な出来事から何を学べるのか、そして地球人の一人として何ができるのかということを深く考えさせられました。
奈良にある東大寺でも貴重な経験をし、お寺を案内してくれた僧の方から仏教について学ぶことができました。お寺の中を歩いてまわり、近くから見た大きな仏像は凛然たるものでした。手作業で長い年月をかけて作られ、修復の作業も手作業でされているということに驚きました。この他にも金閣寺、平城宮跡、宮島、伏見稲荷大社等の歴史的な観光名所を見学することができました。
学校訪問、ホームステイ、歴史的建造物訪問は心に響く多くの経験をしたうちのほんの一部にしかすぎません。読売ジャイアンツの野球観戦、斑鳩での太鼓演奏、高尾山、侍の格好をしたこと、お好み焼きのように美味しい食べ物をたくさん食べたこと、東京の地下鉄に乗ったこと等、数え切れないほどの素晴らしい経験をしました。
最後にこのレポートにおいて、私なりにこの様な素晴らしい経験を通しての考えをまとめてみました。日本とアメリカはそれぞれの文化の中で類似点、相異点がありますが、私たちは皆それぞれに異なった固有のストーリーを持っており、それは国、地域、家族、個人として、それぞれ共有しています。そして、全てのストーリーに共通している思いは気遣い、気に掛けるという心です。学校の子供たちへの気遣い、困っている人を助けたり、家へ招いたりする思いやり、過去から学び未来をより良いものにしようと気にかける思いは万国共通であり、今回の経験はこの理想が世界に共通しているものだと改めて認識させてくれました。
今回経験した全てのことは一生の宝物です。様々な角度から影響を受けたこの旅を一生忘れることはありません。このようなプログラムを計画、運営していただいたCIECとJCCCの方々に心より感謝いたします。