JEEP報告 モーリーン・クイアリー
Pleasant Hill Elementary School, Community Consolidated School District 15
Reading Consultant Specialist, Ms. Maureen Quiery
Arigato Gozaimas!
刺激。感嘆。仰天。歓喜。これらの言葉は、日本を訪れることができた素晴らしい機会を振り返ったときに思いつくものです。私の体験したことは言葉ではいい表せないほど、感動的なものでした。思い返すだけで色々な感情が溢れ出てきて、出会った人々や子供たちの顔が目に浮かんできます。生涯最高の経験でした。
アメリカ、カナダ、ベルギーから参加した様々な経験を積んだ教育者たちとの日本での滞在は、この機会を更に印象に残るものとしてくれました。他の参加者と話すことによって、自分の中で情報が整理され、改めて「日本に来たのだ。」と実感しました。私たちは、自国で受け持っている日本人生徒への関わりや、プログラムが進むにつれどのように自分たちが学んだことや経験したことを活かすか、またどのように自分たちの授業を改善できるか等を話し合いました。多くの教育者たちが集まり、教育について語り合うことは、何か特別な感じがしました。話の中心は、私たちには生徒たちにとっての最善をつくすという共通した責任感があるということでした。どこで何を教えているということに関わらず、教育への情熱と熱意は参加者の結束を固くしました。
成田空港の税関を出た瞬間から、私はセレブのように待遇されました。空港で出迎えが待っていて、そのままホテルまで連れて行ってくれました。ホテルでは、IEJの関係者の皆様が温かく出迎えてくれました。非常にわかりやすく丁寧に作成された資料を受け取り、翌朝の集合場所の指示を受けました。
翌日行われたオリエンテーションでは、日本の学校システムについて学びました。この時、他のプログラム参加者と初めて顔を合わせました。これから一緒に素晴らしい経験をする人たちに出会えたことによって、外国にいる緊張が和らぎました。IEJスタッフ紹介があり、それぞれの参加者も自己紹介をし、このプログラムで何を学びたいかを発表しました。全員がこれから始まろうとしている予測できない旅を楽しみにしていました。IEJスタッフは全員優秀な方々で、このプログラムを何ヶ月も前から準備しており、全てに的確に対応してくれました。その優れた対応振りは、このプログラムの間、終始一貫していました。その日の午後は、着物体験をしました。着付け師の方に着させてもらいましたが、見事な職人の技でした。この体験は楽しく忘れられないものとなりました。
私たちは日本各地を飛び回りました。東京、広島、京都、奈良を訪れ、公立と私立の学校を見学させていただきました。それぞれの学校が独特のプログラムを実施しており、生徒だけではなく、教職員を含め、皆が積極的に参加していました。授業を見せてもらい、生徒たちと話し、食事を一緒に食べていると笑顔になりました。一緒に笑っていると、言語の壁を全く感じませんでした。見学させていただいた全ての学校のリーダーシップは非常に優れたものでした。それぞれの教職員は私たちを温かく迎えてくれ、授業を見学させてくれました。教育者として、日本の教育を知る素晴らしい機会でした。この体験は、日本からシカゴに来る子供たちが渡米前と帰国後に経験するであろうことを直接理解するのに役立ちました。
今回の見所の一つは、立会小学校の訪問でした。到着と同時に、私たちはステージに上がり、全校生徒の前で紹介されました。吹奏楽部が私たちのために演奏をしてくれました。その後、私はデモレッスンを行う予定の一年生たちに手を引っ張られながら、教室に連れて行かれました。デモレッスンでは、体の部分に関する単語をいくつか紹介した後、みんなで絵を見て、からだあそびの歌を歌いながら学びました。生徒たちは日本語で私を助けてくれ、みんなで歌って踊り、とても盛り上がりました。何回か歌って練習した後、体の部分の絵を使い、ビンゴゲームをしました。ビンゴカードにチップを置いて日本語か英語で話しました。毎回テンポが速くなる歌にのせて、踊りを何度も繰り返しました。授業の最後には、私からアメリカ国旗の柄の鉛筆をプレゼントしました。授業が終わった後、私はくたくたでした。次の時間では、別のクラスで同じことをしましたが、このクラスではどうしても手助けが必要だったので、良いタイミングで写真を撮りに来ていたコロラドのAP生物学の先生に手伝ってくれないかと聞いてみました。(実は半分無理強いでした。)彼が快く引き受けてくれたので、一緒にデモレッスンを行いました。私はこの経験からたくさんのことを学びました。自分だけがみんなが話している言葉を話せない、理解できないという気持ちがどのようなものかを理解し、時には手助けが必要であることに気付きました。私がアメリカで受け持っている日本人生徒が授業で一言も理解できないもどかしさや辛さは想像ができませんが、デモレッスンを通して感じたこの衝撃的な経験は、私をより良い教師にしてくれることでしょう。
この旅で心に残っていることの一つは、立会小学校での給食です。給食当番の子供たちは、給食着に着替え、食事を配るのを手伝っていました。他の子供たちは各自ランチマットを机の上に敷いて、手を洗わなければなりません。全員が席に着くと、美味しい給食の時間の始まりです。私が出されたもの全てを、一口ずつ食べていると、同じグループで食べていた子供たちが大笑いをし始めて、周りにいた子たちに私がしたことを言いふらしました。私はなぜみんなが笑っているのかわかりませんでした。なんと、私は最後に食べるはずだったデザートのメロンを先に一口食べてしまったのです!それをきっかけに子供たちはとても親切に、牛乳パックを開けてくれたり、お箸の使い方やどれを先に食べたほうがいいか等、私が全く知らなかったことを丁寧に教えてくれました。給食中は楽しく、たくさん笑いました。子供たちはおかわりのためにじゃんけんをしたり、飲み終えた牛乳パックを折りたたんだりしていました。私は、日本の子供たちは親切で、無駄がなく、礼儀もきちんとしており、責任感を持っているということを給食を通して学びました。このことは、是非私の学校に持ち帰り生徒たちに伝えたいことの一つです。
広島市立基町小学校では、印象深い体験をすることができました。校長先生は大変素晴らしい方で、この学校は、多文化社会で一緒に学ぶことということに力を入れていると説明してくれました。そして、生徒の自尊心を尊重することと、その育成の手助けをすることによって、目的を成し遂げていると話してくれました。彼が連れてきた不登校気味の女子生徒が、私たちの前で話をしてくれました。彼女にはアメリカの大学に行くという大きな夢があるそうです。彼女は上手な英語で発表をし、発表後にっこりと満足そうに微笑みました。校長先生は私たちの拍手が彼女の励みになると言いました。校長先生が学校の理念を強い意思を持って実行していることの証明だと感じました。
私立学校の日々のスケジュールは私が今までみたこともないようなものでした。生徒たちの綿密に計画されたスケジュールに加え、学校は日本文化に重点をおいた授業も行っています。さらに、課外活動への参加も奨励しています。通常のスケジュールに加え、土曜日に半日授業をするところもあります。生徒の中には一人で片道二時間近くかけて通学している子もいます。東京の私立広尾学園の生徒たちとの質疑応答の時間は非常に楽しく、彼らの背景や、学校生活はどうか、学校外ではどのようなことに興味を持っているかなどを話してくれました。生徒たちはみんな話し上手で、私はいつか彼らがグローバルな見方で世界を担っていくと感じました。面白かったことの一つは、一人の生徒がアメリカのテレビ番組を一時間見なければいけないと言ったことでした。そして、彼女が楽しみにしている番組は、決して適切な番組とは言いにくいですが、リアリティー番組の”Keeping Up with the Kardashians”だそうです。また、同志社国際学院初等部では、学校の代表者との質疑応答の時間を設けていただきました。彼の英語は非常に流暢で、グループの皆がたくさんの質問しましたが、全ての質問に快く答えてくれました。
私がホストファミリーと過ごした時間はかけがえのないものでした。ホームステイをすることをとても楽しみにしていた反面、気掛かりでもあったのは事実ですが、ハセガワ家のみんなはとても親切で素敵な方たちでした。彼らは、私の生涯の日本の家族となりました。彼らの事を書くのは本当に切なく、思い出すだけで今にも泣きそうな気持ちになります。フトシ、ユキ、そして、レナは私を快く迎え入れてくれ、二日間という非常に短い期間で作り上げられた絆は、長続きするものとなるはずです。ホームステイが終わった後の日本滞在中も、帰国した後も連絡を取り続けています。IEJのスタッフがどのようにしたのかは分かりませんが、私とホストファミリーは完璧な組み合わせでした。彼らの仕事は子供たちに英語を教えることでしたので、私と通じているものがあると感じました。私は、本がびっしり収納されたクローゼットのある部屋で寝ることに特別感を抱きました。私の職業がリーディングスペシャリストなので、本に囲まれていると落ち着きました。彼らは私に二日間何をしたいかと聞いてくれたので、日常を体験したいと言うと、それに応えてくれました。食事は毎回家族揃って一緒に食べ、色々なことを話しました。メモに書きとめようとしましたが、それよりも一緒に時間を過ごすことに夢中になりました。私が彼らの生活や文化に興味があるように、彼らも私の生活や文化に興味津々でした。私たちは夜遅くまで、家族や故郷、そして学校などの話をして、お互いの写真を見せ合いました。フトシとユキは私に家族の一員のように接してくれたので、二日間とても居心地よく過ごせました。
最後の学校見学は奈良女子大学附属小学校で、私たちは算数の授業を見学させていただきました。授業では、生徒たちが自分たちで考えてきた問題の解決方法を話し合っていました。最後の方で先生が話し、生徒たちは話し合った結果を基に、それぞれの解答を発表していました。自主的に学び、他の生徒たちの意見もうまく取り入れながら学ぼうとする姿勢に感嘆しました。
学校見学の他に、私たちは日本の長く豊かな歴史や伝統に触れる貴重な体験をしました。東京、京都、広島、奈良を訪れ、ツアーガイドの方から多くの情報や自由時間に訪れると良い場所等のアドバイスもいただきました。IEJのスタッフが計画してくださったそれぞれの観光場所はどこも興味深く、お寺や神社はもちろんでしたが、広島の平和記念公園への訪問は特に印象深いものでした。公園内を案内してもらった後、被爆者からお話を聞かせていただきました。平和記念資料館を訪れ、当時の様子を知ることができ、深く考えさせられました。その他には、宮島の厳島神社、京都の金閣寺、奈良の東大寺を観光し、どの場所も息を呑むものばかりでした。東大寺では僧侶に迎えられ、大仏を間近に見る事ができました。これらは旅のほんの一部です。また、私たちは行程の全てにおいて最上級の食事も堪能しました。
IEJスタッフの脇田さんと服部さんは人柄がよく、非常に気を配ってくれました。私の期待以上に全て対応してくださったので、安心して毎日有意義に過ごせました。どんな質問にも答えてくれ、自由時間で電車に乗るときも駅まで案内してくれました。もし、何か困っていたら、確実に助けてくれる方たちのお陰で、この旅が実現し、素晴らしい時間を過ごすことができました。
このような機会を与えてくれたJCCCへは感謝の言葉がみつかりません。このJEEPは私にとって、教育者として大きな経験となりました。毎朝目を覚ますたびに、自分が日本にいて、このプログラムに参加しているということが信じられませんでした。この経験は言葉ではうまく表現できないほど、素晴らしいものでした。私は心から日本という国と恋に落ちたのだと感じています。