JEEP報告 リタ・ライチュードゥフリ
Dr. Rituparna Raichoudhuri, Executive Director, Early College and Career
Chicago Public Schools
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私は子供の頃、歴史の本や物語の中で出会った遠く離れた神秘的で美しく、伝統と調和を尊重する日本という国に魅了されました。それから何年か経ち、歴史担当の教師となった私は、7年生に日本の歴史と封建制度について教える機会がありました。それは生徒たちに、私が子供の時から日本に対して抱いている感嘆と畏敬の念を共感させることになりました。月日が流れ、現在は教師という立場ではなくなったものの、現職では多様な文化や背景を持つ子供達の将来をより良いものにすることに力を注いでいます。私の日本と日本人に対する知識は本で学んだものだけであり、決して十分ではありませんでした。他国の文化への理解を深める為には、その文化にどっぷり浸る必要があると思っています。そして、この素晴らしいプログラムは正にそのような機会を私に与えてくれました。
JCCCを通してIEJプログラムに参加することにより、私たちは多様な日本文化にたっぷり浸ることができました。日本の人々、習慣、伝統、学校、お寺や神社、公共交通機関、デパート、技術。さらには、優美に盛り付けされた美味しい料理、素晴らしい自然の美しさ、国家遺産である公園、記念碑、博物館、そして、清潔で整然とした公共空間等多くのものに出会いました。
狭い場所に何千万人もの人間が居住する人口密度の高い場所であっても、お互いを尊重し、環境にも配慮するという事が可能なのだと知りました。道にはごみ一つ落ちていない上に、公衆トイレも非常に清潔に保たれていました。東京は世界の中でも最も混雑している都市の一つとして認識されていますが、そうした中でも植物や木に対する環境保護の姿勢が見えました。このような自然や環境に対する配慮は日本の各地で垣間見ることができました。
日本の食べ物は想像以上に美味しいだけでなく、芸術的に盛り付けがしてあり、食べるのがもったないくらいでした。食べ物の盛り付けだけに限らず、美しく手入れの行き届いた公園から、県ごとに特有の優美なデザインで飾られたマンホールの蓋に至るまで、日本では目に付く全ての物に関して美的要素が考慮されており、それは日本人の誇りと完璧を目指す姿勢の表れだと気がつきました。
プログラムの中でもホストファミリーとの滞在は特に楽しく、事前に読んだり聞いたりしていた日本のおもてなしを直接体験することができました。もしも地球上の人が他人に対してホストファミリーが私を気遣い、愛をもって接してくれたようにできるのであれば、世界はもっと平和になり、愛に満ち溢れた世界になると思いました。また、3校の学校訪問は公立・私立、規模等それぞれ違ったタイプであり、どれも勉強になりました。日本政府が次世代の為に多岐にわたる教育システムの構築に力を入れていることに感嘆しました。生徒も教職員の方々も非常に素晴らしく、有能で、親切でした。私は2020年に文部科学省が発表する新たな教育方針の内容をとても楽しみにしています。
広島への訪問は胸に響くものであり、日本人に対する新たな尊敬心が芽生えました。原爆投下はアメリカやその同盟国に対する憤り、憎悪、そして復讐心を抱かせるような日本の歴史上極めて非情な出来事ですが、日本人はそれを平和、愛、根気強さの美しいメッセージに変えていることがとても象徴的でした。私たちが広島平和記念資料館を訪れていた日は、丁度大阪でG20サミットが開催されている最中でした。私たちは記念資料館で多くのG20サミット参加者に遭遇しました。彼らも平和と愛の尊いメッセージに感嘆しながら熱心に見て回っていました。
今回の旅は生涯の思い出となる経験で、私の中で何かが変わった気がします。全く違った角度から人生、生活様式、教育システム、平和と尊敬の理想像、美しく神聖で自然的な全ての物事を見ることができるようになり、深い感謝の気持ちを感じます。このような素晴らしい機会を与えてくださったJCCCとIEJプログラムの方々に感謝の意を述べさせていただきます。ありがとうございました。