JEEP報告 ケイトリン・ヘイラン
【報告者】
Pleasant Hill Elementary School
2年生担任Kaitlyn Haran氏
今回日本を訪れたことで教育者としての人生がガラリと変わった気がしています。この夏経験したことは予想をはるかに超えてすばらしいもので、言葉では表しきれません。初日からこの旅が格別な体験になるはずだという実感がありました。初日のオリエンテーションはロサンゼルス、デトロイト、アトランタなどのアメリカのさまざまな都市、そして、カナダ、ベルギーという幅広いバックグラウンドを持つ30名の教職員仲間との出会いから始まりました。日本の先生方との交流で再確認したことは、子供に対する熱意、献身的な姿勢、そして最高の教育を提供したいという認識がどこの国で何の言語を話していても同じくあるということ。それが「先生」という職業のすばらしいところだと思います。日本の学校システムに関する教育者の発表に耳を傾け、有意義な質問の時間もいただきました。また、日本の学校からアメリカの現地校に移ることがどのような環境の変化なのか、そしてどのように生徒たちを慣れさせて、よりサポートするかに関してもたくさん学ぶことができました。
日本では東京、奈良、京都、広島の4都市を巡りました。東京の立会小学校が最初の訪問校でした。この学校の校長先生が生徒たちと一日一緒に勉強するために学校に招待してくださり、6年生のクラスに英語の授業をする機会まで提供してくださいました。クラスで本を一冊読み終えた後、ビンゴゲームを使って英語の感情表現の言葉を教えると同時に日本語でそれらの言葉を教えてもらい、一緒に学習しました。子どもたちは楽しそうにビンゴゲームに取り組み、”Clear your board!(ボードを空にして!)”の意味もすんなり覚え、何度も”One more time! One more time!(もう一回!もう一回!”と口を揃えて言い続けていました。どの国にいても子どもたちはご褒美が大好きですね!とても楽しい一日を過ごすことができました。
次に、斑鳩に住む白石家のご自宅に2泊ホームステイしました。ホームステイでの経験は深く印象に残った経験の一つです。お子さんたちが通う学校と家庭の両方に温かく迎え入れていただき、かけがえのない時間を共に過ごしました。趣味、仕事、学校、住んでいる地域や家族のことを何時間も語り合い、日本の日常生活に関して深く知ることができました。振舞ってくれた家庭料理も近くの和食レストランやお店の食べ物も全て絶品でした。アメリカに帰国してからも既に何度もやり取りしており、今後も国境を越えた友情を大切にしたいと思います。白石家の皆さんを一生忘れません。
ホストファミリーのお子さんたちが通っている斑鳩小学校では、白石家の子どもたちのそばで授業に参加しました。この学校では習字や理科の実験などの実践的な日本の学校教育について教えていただき、その他に算数・国語や、図工の授業、昔ながらの日本の遊び、能、さまざまなスポーツなどのクラブ活動を見学させてもらいました。また、校長先生、PTAの保護者及び先生数名にパネルディスカッションを主催していただき、さまざまな観点から日本の教育システムに関して質問することができました。このディスカッションを通して得た有益な情報は、私が受け持っている日本からシカゴに移り住んだ生徒たちの心情を一層理解する助けになると信じています。
3軒目にお邪魔した広島の基町小学校では、日本の教育にまたどっぷり浸かることができるすばらしい機会をいただきました。こちらの学校は、「生徒たちに自尊心をつけてもらうことが第一である」というミッションを掲げていました。校長先生は、「自尊心を高めることで、自分の可能性を十分に引き出すために努力することの大切さが分かってくる」とおっしゃっていて、非常に刺激を受けました。さらに、生徒一人一人が、学校に限らず地元の施設や企業を通して地域コミュニティの重要な役割を果たしていることや多文化主義のマインドであること、平和に対する理解を深めていること等も注目すべき点でした。
最終日のミーティングでは、IEJのプログラムに参加した30名の教育者に加えて日本の教育者が集ってディスカッションを行いました。日本から児童が渡航する前または日本に帰国する際に日本の学校と海外の学校が協力し合って、彼らが環境に順応しやすいような事前準備やサポートをする方法がないかを話し合いました。そのためにまず私ができることとして、私が受け持っている生徒が毎週土曜日に通っているシカゴ双葉会日本語学校補修校を訪問し、父兄の皆さまに私が日本で経験したこと、学んだことを伝える機会を作りたいと考えています。また、生徒たちにもレッスンや読み聞かせ会で今回のプログラムの写真を見せながら、私が日本の文化に関して感じたことを伝えることで、現地校と補修校の両方に通う学生と家族の間に深いつながりが築けることを願っています。
最後に、繰り返しになりますが、日本への旅は私の期待をはるかに超えるものでした。学校訪問以外にもお寺や神社、日本庭園や商店街にも行きました。また、東京タワーの上から街の景色を眺めたり、奈良の修道僧から話を伺う機会があったり、浅草で着物を着せてもらったり、宮島までフェリーに乗ったり、広島で原爆ドームと平和記念資料館を訪問したり、挙げ始めるときりがないほどの多くの経験をさせてもらいました。IISTのIEJプログラムはうまく組織化されており、仕切っていたIISTの方々は皆知識が豊富であり、かつ、親切で魅力的な人たちで、さようならを言うのが切なかったです。こんなに短期間で日本の教育、文化、歴史に関して学べると思ってもいませんでした。このような一生に一度しかないような機会をいただきありがとうございました。このようなすばらしいプログラムの一員として参加できて本当に光栄です。