JEEP報告 トッド・ハルステッド
【報告者】
Kildeer Countryside 学区 96
Ivy Hall Elementary School
ELLスペシャリストTodd Halstead氏
2015年のJEEPプログラム代表者の一員として選んでいただいたことを大変光栄に思います。IEJのコーディネーターの企画力のおかげで、旅全体を通して多くの特別な体験をすることができました。3校の学校訪問では、勤めている学校に持ち帰りたいアイディアを豊富に発見できるなど、とても有意義に過ごせました。また、各地域の観光や着物体験などの文化体験も、アメリカに住む参加メンバー全員にとって一生に一度しかできないであろう貴重な経験でした。幸いなことに、JEEPプログラムが終わった後に日本の滞在を延長することができたため、更なる忘れられない時間を過ごせました。
最初の学校訪問は東京でした。生徒が全員制服を着て、時間割も厳しく守られているとてもフォーマルなスタイルを取っていました。夏の間は毎日のように泳ぎ、一輪車に乗る練習をしている様子がアメリカの学校では見られないアクティビティなので非常に面白かったです。一通りの見学を終えた後、それぞれのグループに分かれた上でクラスに案内され、授業をさせてもらいました。この学校では生徒たちの助け合いの精神が強く、一丸となって学ぶ姿勢が顕著でした。教育及び文化の交流をすることができたのが楽しい思い出になっています。
二つ目の学校は奈良の女子大附属の小学校で、東京の学校とは校風が違い、興味深かったです。こちらはよりカジュアルな雰囲気があり、生徒は私服で通学し、スケジュールも多少フレキシブルでした。この学校の生徒は2年生から毎日一時間英語を学習していて英語に馴染みがあるということで、日頃から勉強している内容の応用として英会話をしたり、授業で分からないことを教えたりできたことで私たちも大きく貢献できたと感じました。
最後の学校は広島の学校でした。日曜に執り行われた原爆70周年祈念式典のために訪問したにもかかわらず、学校がどのように運営されているかをよく理解できるようにプログラムが組まれてありました。式典を通じて学校が今まで地域に貢献してきたことを振り返って称賛するいい機会であったと感じましたし、私自身日本目線での戦争に初めて触れて心打たれました。この学校は他の2つとは大きく違って中国等の諸外国で育った帰国児童や外国にルーツを持つ生徒(多くは低所得家庭からくる)が約4割を占めていました。「日本語が不自由だったり、異なる環境で育った子どもたちをまとめることは大きなチャレンジではあるが、生徒間の偏見や先入観を取り除くような教育プログラムを積極的に導入し、子どもたちが発言する場を設けたことが、学校環境や教育レベルの向上に少しずつつながっている」と校長先生がおっしゃっていたのが印象的でした。まだまだ改善途中とのことでしたが、現行のプログラムが機能していることが、学校や生徒たちを見ていても明らかで、我が校にも応用できないかと考えています。
今回の旅では教育現場の訪問以外にも、すばらしい日本の文化体験をたくさんさせていただきました。その中でも私の印象に残ったのが、東京での着物体験と奈良の東大寺です。着物店ではスタッフ全員の温かい拍手で迎えられ、案内された先ではさまざまな素材の違いや着物を作るに当たって必要な技術や着物の歴史的な意義に関して細かく、かつ、分かりやすい熱心な説明を受け、日本の人々のおもてなし精神に感銘を受けました。その後畳で敷き詰められた大広間に移動し、他の先生方と一緒に袴や着物を着付けてもらい、とてもいい経験になりました。世界でも屈指の巨大木造建築である東大寺では、別当さんが直々に現代社会における仏教の位置づけなどについて説明してくださり、また、本堂の中では圧巻の14.7メートルの銅の仏像を間近で見ることができました。これらの体験の他にも、これまで見たこともないような食材を使った和食にチャレンジしたことや、既にアメリカで馴染みがある日本料理の「本場」を味わえたことが印象に残っています。
このような学習体験をさせていただき、JCCCとIEJには感謝の気持ちでいっぱいです。日本の文化や日本人の国民性を深く理解することができた充実したプログラムでした。今回のプログラムに幸運にも参加できた身として、周りの先生にもこのプログラムを通じて得た知見を共有し、受け持っている生徒たちにも日本で見聞きしたことを話してあげたいと思っています。日本のことを学べただけでなく、世界中から同行していた日本人生徒と関わりのある約30名の教職員の仲間たちと出会えたことで、アイディアの交換ができたことも大きな利点でした。重ねてのお礼になりますが、私を含む過去と未来のJEEPプログラムに参加する教職員にこのような機会を提供いただいているJCCCに感謝の意を述べて終わりたいと思います。ありがとうございました。