COVID-19
COVID-19は、新種のコロナウイルス( SARSCoV-2)により発症する呼吸器系の感染症で、昨年の12月に初めて確認されました。その後世界的に広がり、パンデミックになり、現在もまだ感染者が毎日確認されています。
このウイルスは感染すると、無症状から重篤な症状までの幅広い症状を起こします。年齢層、人種、性別を問わず感染者は確認されています。但し多くのウイルスと同様に、高齢の方、及び基礎疾患(心臓、肺、糖尿病等)を持っている方に重症化が多く見られます。
感染経路はまだ確定はしていませんが、人から人への感染が多く、主に飛沫感染(咳、くしゃみ等の水滴)から感染します。この為、感染者と近距離(6フィート、又は約180㎝)以内にいた場合、より感染しやすいと考えられています。その他にも、ウイルスが付着している表面を触れた後に自分の目、口、鼻を触れると粘膜から感染すると考えられています。
このウイルスは感染力が強く、季節性のインフルエンザと比較しても感染力が更に強い様です。又、死亡率もインフルエンザと比較して高く、急激に肺炎を起こし、呼吸機能の悪化を起こす事が問題となっています。
このウイルスに感染すると、潜伏期間が2日から14日間を経て発病すると考えられています。中には無症状から軽度の症状もあり、ある程度の症状が在る場合は、熱、咳、息苦しさ、倦怠感、筋肉痛、のどの痛み、味覚、臭覚の異常などが挙げられています。一般的な風邪、インフルエンザの症状と似ている事や、無症状や軽度の症状もある為、症状だけで診断するのは簡単ではありません。
感染の予防法は一般的にウイルスの感染を予防する基礎的な事を入念に行うのが基本となります。まめに手を洗い、手に付着しているウイルスを洗い流す事。又、手洗いが不可能な場合はアルコールベースのサニタイザーを使用してウイルスを除菌する事。粘膜からの感染を減らすため、極力顔に触れることを避ける事。ウイルスが付着している可能性がある表面を除菌スプレー、シートを使い除菌する事。感染者と接触を避ける事。
しかし残念ながらウイルスは必ずしも予防できません。感染してしまった場合、感染の有無を判断する為には検査が必要です。
このウイルスの急激な広がりにより、最初の段階では検査キットの不足が目立ち、又、正確度に問題がある検査キット等が出回る様になりました。その後は徐々に安定し、検査も受けられるようになり、現在ではPCR検査が定着しています。PCR検査は正確度が高く、現在多数の病
院、また複数のイリノイ州公衆衛生局が認定した施設で行われています。PCR検査は鼻に綿棒を入れて検査を行なう方法で、現時点で正確度が一番高い検査です。検査結果に時間がかかることが難点です(2–3日位)。
その他に抗体検査が現在行なわれています。抗体検査は過去の感染を調べる方法です。この検査は血液検査で行われており、多くの病院、クリニック等で検査可能です。検査は過去の感染を表すものであり、現在の診断には有効ではありません。この検査は既に感染したかを確認する目的と、地域での感染率がどの位かを知るために有効です。抗体検査は問題点としてその他のコロナウイルス(過去に存在していた軽い風邪を起こすウイルス)に対しても反応してしまう可能性がある為、確実に新種のコロナウイルスに感染したと確認は出来ないことです。又、現時点では新種コロナウイルスに感染して抗体が出来た場合、免疫力が在るか否かも確認できていないため、あまり多くの情報は得られない事です。
その他に抗原検査が5月に日本、米国それぞれ認可され、近い内に導入される予定です。抗原検査はPCR検査と同様に鼻に綿棒を入れて行なう検査ですが、検査が比較的簡易で、どの医療施設でも検査が可能です。過去にインフルエンザの検査を受けた事がある方は馴染みがあると思いますが、同じ検査方法です。結果は早く、30分ほどで確認できます。難点は感度が低いと言う事で、陽性と出た場合は正確な判断とみることが出来ますが、陰性の場合は偽陰性(感染しているのに陰性と出る事)の可能性があるため、やはりPCR検査でフォローする必要があり、PCR検査を補う検査の位置付けということになります。
現在ワクチンの研究は進められていますが、いつから接種可能になるか、又、どの程度の効果があるのかはまだ分かりません。現在認可されている治療法はありません。様々な内服治療や抗血漿治療が検討されており、研究は進められています。実際に重症化して入院されている場合には治験的に使用されています。しかし今の所は効果があると立証されたものは無く、外来治療として使用できるものはありません。
3月より感染の拡大を防ぐ為、外出自粛の条例が始まりました。これにより、外出は減り、在宅勤務が増え、一般のビジネスの多くが一時休業になりました。又、医療施設の活動を確保するため、健診、定期検査、延期出来る医療行為は一旦中止、延期となりました。
現在イリノイ州では外出自粛の条例が徐々に解除される方向で進められています。これにより、少しずつ生活が以前の状態に戻ることになり、当然人と人との接触が増えて行きます。但し現在でも毎日新たな感染者は確認されており、いつ終息を向かえるか分かりません。
新種のウイルスは明確な情報を得るために時間がかかるため、現時点でまだ不明な点が多い事が現状です。感染ルート、ウイルスの生存力、感染後の抗体の効果等も含め、まだ分からない点が多く見られます。今後も引き続き各自感染を予防する為の努力は必要となります。又、一般の健康管理も気を付けてください。
現在各医療施設は医療業務を再開しています。医療機関での不安により医療機関から遠ざかっている方も多い事と思います。各医療機関ではウイルス対策は行なわれており、人数制限で他人との接触も極力減っています。必要な医療行為は再開し、又多数の医療機関では電話、ビデオ対応による遠隔診療が行なわれています。必要な方法で医療機関と連絡を取り、健康管理を行って下さい。