徒然なるままに

山田 賢哉さん 日本航空

コロナ禍となり、早一年半が過ぎようとしている。昨年は仕事柄、感染の恐怖を感じながらもスタッフとともに日々の業務(運航維持)にあたってきたのだが、正直綱渡りの日々であった。年が明け、この春からのワクチン接種開始により少しずつリスクが軽減され徐々に落ち着いた状況にはなってきたかなあという今日この頃。そんな余裕のない日々を過ごしているうちに、自身のI-94での米国在留期限を迎えてしまうことから日本への一時帰国を決めることとした。

約二年ぶりの日本、東京、その日々の中でいろいろと感ずることがあった。
10月末、季節もよく天候も安定し心地よい日々が続いてたが、皆、外でもマスク姿。ジョギングをしている人も皆、マスクをしていた。都内という狭い土地ゆえの混み具合の違いはあろうが、日本だなあ、を実感した最初のシーンであった。

また、今回の日本行は、二週間の自主検疫期間も含み長期にわたり勤務地を離れることもあって、早朝にシカゴ(当地は夕方)と、昼間は日本国内とリモート会議が結果してそれなりに設定されることになってしまった。自主検疫期間中のホテル缶詰生活はのんびり息抜きの予定、であったがやろうと思って準備していた読書もままならず、という状況にあいなった。こういうこともリモート会議が一般化されたことで「便利」という言い方もある一方、「いつでもどこでも」となると携帯電話が普及した際にも同様な
ことが言われていたことを思い出したが、やはり裏腹であるなあ(苦笑)と改めて感じた次第であった。

その後、自主検疫期間を経て買い物に出たが、レジが無人自動化されている店が増えていることに気が付かされた。感染防止対策としてもその対応が進められたものであると理解したが、とあるアパレル店のレジは商品のタグのバーコードをスキャニングせずとも商品を台にバ
サッと置くだけでその情報を読み取る仕組みになっていたのには驚かされた。

 

リモート会議も無人化非接触も必要な用件はそれで済み、これまでより便利で楽であるという価値は間違いないとは思う。だが、情緒的価値を重んじたい自身としては、リモート会議続きで直接はまだ一回も会ったことがない若手の後輩など、実はどういう感じの人なんだろうとか、どういう空気感、温度感の人なんだろうとか、いろいろとその隙間を埋めたい衝動にかられてならない。無人化非接触も個人的にはシンプルな味気ない対応だけでない、プラスαの心に刺さる何かがある
と響くだろうにな、などと思ってしまう。

技術の進展によりそのプロセスで人が直接的には介在せずとも成立することが多くなってきたからこそ、介在する場面での「人」の存在価値、あるいは「リアル」の価値は、これまで以上に大きくなっていくのだろうと感じている。

ビジネスの世界でも「現場、現物、現実」という言葉もあるが、それらの価値を改めて大事にしたいと思う今日この頃である。また業務上その「リアル」を感じていただくためのお手伝いを生業としている
自身としては、そこに介在する「人」としての価値を更に高めるべく、想いを新たに日々精進していきたいと考えている。