南アフリカの思い出

坂本 次郎さん 味の素ヘルス&ニュートリション・ノースアメリカ社

初対面の駐在員同士で「以前どこに駐在されてましたか?」と会話することは多いと思います。私の場合、「直近は南アフリカのヨハネスブルグ」とお答えするのですが、2割くらいの確率で( ご苦労されたんですね)という同情の入り混じった、ため息交じりの「そうですか. . . 」を返されます。確かに、検索エンジンでヨハネスブルグを調べると、「世界一危険な町」と見出しを付けた様々な体験談がでてきます。中には、ネタとしか思えない記事もありますが、正直自分も赴任する前は相当に不安でした。実際住み始めると、BRICSの一角である南アフリカは生活インフラも十分に整備され外食、買い物等の日常生活は特に不便なく、 (ほぼ!)シカゴ並みの生活が送れます。ただ、確かに政治の不正と銃犯罪のニュースは日常茶飯事で、日本人旅行者や駐在員の方でも犯罪に巻き込まれた方は多くいらっしゃいます。幸いにも当方は、一度も犯罪被害にあうことなく駐在期間を終えることができ、どちらかというと「いい思い出」のほうが多いです。というわけで、以下きわめて独断に満ちた南アフリカ自慢をご紹介します。

肉がおいしい

シカゴの有名店に近い品質のステーキがおよそ半分の値段で楽しめます。有名なのは隣国ボツワナ産の牛肉で、Free-Ranging/Natural Farming( 内容はわかりません)で肥育されUSDA Prime並みの品質です(独断で!)。また、前菜にはぜひ生ガキをどうぞ。「アフリカ=不衛生」のイメージもあると思いますが、とても新鮮でおいしいです。有名な産地であるKnysna 町では、毎年7 月にカキ祭りが開かれ、多くのグルメが訪れます。

ワインがおいしい

ケープタウン近くのStellenbosch地区をはじめとする南アフリカ産のワインは、日本や米国の店頭ではあまり見かけ
ませんが、その品質とコスパの高さで愛好家の間では有名です。また、一説によると保存料が少ないので、飲みすぎても頭が痛くならないそうです(基本的には、飲んだ量次第だと思います. . . )。また、Pinotage というPinot Noir種とCinsaut種を掛け合わせた固有種もあります。南アはマレー半島からの移民も多く、彼らのスパイシーな料理によく合います。

サファリが楽しい

なんといってもイチ押しは野生の動物が見れるサファリパーク(Game Reserve)です。南アで一番有名なところはクルーガー国立公園ですが、おすすめは隣接する多数のプライベートのサファリ。専用ロッジに泊まり滞在中朝夕二回、運転手とガイドと一緒にサファリカーで動物探しに出かけます。国立公園との間にフェンスはなく、動物は行き来自由。一方、国立公園内では決められた道路のみしか通行できませんが、プライベートサファリはブッシュの中の道なき道をひたすら目的の動物を目指して探検できるため、高い確率で様々な野生動物に遭遇します。ライオン、ゾウ、サイ、バファロー、ヒョウの5種はBig5といってサファリの目玉、南アフリカ紙幣の絵柄にも使われています。掲載した写真は、当方が実際に撮った動物の写真です。特に超望遠レンズを使ったわけではありません。動物との距離の近さをお感じ頂けると思います。また、ロッジは空調完備、プール付き豪華な食事付きで快適そのもの。最高の休日が過ごせます。仕事では、ナイジェリアやエチオピアという、おそらく多くの人が想像する典型的なアフリカ諸国へ多く出張しました。南アフリカではTownshipという旧黒人居住区がそうですが、それらの国や地域のいわゆる貧困層の生活は過酷です。

 

(写真はナイジェリアのMakoko という水上都市。ほぼゴミに埋もれてます。)ただ、そんな場所でも子供たちの笑顔は輝いているんですよね!彼ら彼女たちが大きくなるころには、今より少しでも良い暮らしができるようになっていることを、心から願っています。