帯同家族のキャリアは“企業の新しい資産”となり得る 〜柔軟な働き方と製造業DXが拓いたキャリア形成と、アメリカで働くためのヒント〜

沖田 康子さん GlobalLogic(Hitachi Group)

はじめに:
帯同家族でもアメリカで働ける時代に

 

帯同家族はキャリアが中断すると考えられがちですが、近年は制度も整い、帯同ビザでも働ける環境が広がっています。しかし、「アメリカで本当に働けるのか」「専業主婦期間が不利になるのでは」と不安を感じる方が多いのも事実です。
本稿では、二度の専業主婦期間を余儀なくしキャリアを再構築、渡米後は約3.5か月で就職した私の経験をもとに、企業側の視点も含めて帯同家族のキャリア形成のヒントをお伝えしたいと思います。

Product・OT・ITを積み重ねてきたキャリア

--日立、パナソニック、シスコを経て私のキャリアは、日立での製品( Product)を起点とした海外営業から始まりました。しかし結婚に伴い東京から地方へ転居し、ここで最初の専業主婦期間を迎えました。その後、パナソニックから声をかけられ、週末婚で東京本社に復帰。大阪勤務も含めながら、OT( Operational Technology運用制御技術)領域の海外営業に従事しました。さらに、シスコシステムズへ転職し、IT領域にリスキリングしネットワークやセキュリティといった製造業DXの基盤となる仕組みを担当しました。こうして、Product→OT→ITと経験を積み上げてきたことが、現在のキャリアの土台となっています。

二度目の専業主婦期間と、「本当に働けるのか」という不安

2023年2月、夫のシカゴ郊外への赴任に帯同し、私は二度目の専業主婦となりました。慣れない環境の中で、自分の存在意義に悩む日々が続き、“アメリカだから難しい” という思い込みに押されて自信を失いかける瞬間もありました。しかし、振り返れば、その“思い込み” こそが、私自身のキャリアの可能性を最も狭めていたのだと気づきました。

就職活動も“営業活動”

--思い込みを捨て、アメリカの企業も顧客と捉え、私が大事にしている「相手の課題を理解し、自分がどう貢献できるかを示す」という下記営業プロセスを就職活動において徹底しました。
• アメリカ企業の人材課題・事業課題を徹底調査: 企業が抱える課題、製造業のトレンド、求められるスキルなど、調べられる限りの情報を徹底的に分析しました。
• 面談では「自分の経験がどの課題に役立つか」を明確に伝える:「 相手企業のどの課題に対して、どのように貢献できるか」を重点的に伝えました。
• アメリカだから特別と構えすぎず、自分の価値を適切に評価する

アメリカで働く=特別に難しいという思い込みを手放し、Product・OT・ITの経験は国を越えて価値があると自分に言い聞かせました。自信を持つことで、面談中の姿勢や言葉選びにも良い影響がありました。

これらを積み重ねた結果、様々な企業からお声かけをいただき、また、現在のGlobalLogicの目に留まり、渡米3.5か月で就職の機会をいただくことができました。これは特別な才能があったからではなく、徹底した準備と、“自分にはできない”という思い込みを手放したことによるものだと考えています。

 

複数の企業から声がかかった中で、GlobalLogicを選んだ理由

--「最も自然に自分らしく働ける」と感じた場所就職活動では複数の企業から声をかけていただきました。しかし、自分が最も無理なく力を発揮できるのは、Product・OT・IT を理解する経験がそのまま活かせる環境だと感じるようになりました。その条件に自然に合致したのがGlobalLogicでした。
GlobalLogicは、日立が2021年に買収したデジタルエンジニアリングのリーディング企業であり、日立がこれまでで最大規模の投資を通じて、DXと成長戦略を強化するために迎え入れた米企業です。Productの組込みソフトから、コネクテッド製品、クラウド、データ分析、AIまで、製造業が求めるあらゆるデジタルエンジニアリングを一社で提供できる稀有な存在です。これは、製造業が製品の高度化や新たなサービス創出を進めるうえで、大きな競争力となる領域です。加えて、GlobalLogicはビジネスコンセプトの策定、要件定義、課題構造化といった上流工程においても強みを有しています。戦略デザイン企画およびプロダクト開発コンサルティング組織である Methodという部門等が連携することで、お客様はGlobalLogicによりコンセプト策定・要件定義から、設計、開発、運用に至るまで、変革ライフサイクルのあらゆる段階をシームレスに進めることが可能となります。こうした「上流から下流までを一気通貫で支える総合力」が、私自身のProduct・OT・ITの経験と最も自然に重なり、GLを選ぶ決め手となりました。

おわりに: 帯同はキャリアの終わりではなく、“再設計のチャンス”

二度の専業主婦期間は、キャリアの空白ではなく、自分の強みを見直し、新しいステージを選ぶための時間でした。アメリカで働くことは決して不可能ではありません。「難しいに違いない」という思い込みを手放し、自分の経験に自信を持って臨めば、道は必ず開けると感じています。
企業にとっても、帯同家族が持つ柔軟性、越境経験、異文化理解、自律性は大きな資産となり得ます。私の経験が、帯同家族の皆さまへの励ましとなり、企業にとっても有益な示唆を提供できれば幸いです。現在はAssociate Vice Presidentに昇格し、ビザの変更を経て、これまで以上に幅広いキャリアの可能性に挑戦できる環境を得ています。今後も、日本と米国の間における製造業DXの発展に貢献していく所存です。